さまざまなブランドからスニーカーが発売され続けた2021年。そのラインナップはスニーカーファンの足元を彩るだけでなく、コレクター心理にも大きく働きかけていた。その状況は恐らく2022年も継続され、多くのファンを楽しませてくれるに違いない。ところで毎週のように新作スニーカーが発売される今、1日中スニーカーのことを考えている「スニーカーヘッズ」と呼ばれるコア層はどのキーワードに注目し、購入すべき一足をセレクトしているのだろうか。今回はスニーカー系YouTuber朝岡周とInstagramやTwitterなどでスニーカーにまつわる情報を発信するTAKEスカイウォーカーの若きスニーカーヘッズ二人をゲストに招へいし、2回にわたってアツいスニーカートークを交わす。NIKEをはじめ、幅広いスニーカーブランドにアンテナを張る彼らの本音トークを通じて2021年を駆け抜けたムーブメントを振り返るとともに、2022年のスニーカー選びのヒントを探ってみよう。前半戦の今回はNIKEを中心に語っていく。

スニーカーブームの主役は定価が1万円台前半のモデルへ

── スニーカーブームは依然と続いています。そのなかで2021年もNIKEが人気の中心だったかと思いますが、このムーブメントについて、お二人はどのようにご覧になっていたでしょうか?

TAKE: 2021年は僕の印象だと、2020年から続くNIKEの「DUNK」ブームが駆け抜けた1年だったと思います。極論になりますがDUNKブームが何だったのかについて話すことが、2021年のスニーカーブームを語ることとイコールなのかもしれません。特にローカットのDUNKはもともとスニーカーに詳しい人だけでなく、より広い層にもNIKEのスニーカーが人気であることを再認識させたのではないでしょうか。2021年は「DUNK LOW」が日本のスニーカーシーンで、確固たる地位を築いた1年だったと思います。

自身のYouTubeチャンネル『朝岡周& The Jack Band』でスニーカーにまつわる発信をしながらアパレルブランドの「SAMPLES」のディレクターでもある朝岡周

朝岡: 2019年辺りまではDUNKはスニーカーの絶滅危惧種でした。たまに復刻されると「あのDUNKが復刻されるの?」って話題になって、詳しい人が買って市場から消えていった。その空気が変わったことを実感したのが2021年だったと思うんですよね。2021年は超限定のコラボ系「SB DUNK」だけじゃなくて、カレッジカラーやヴィンテージ感のバリエーションがいろいろ発売されたんですけど、そのタイミングが絶妙だった。

頑張って買おうと思うんだけどギリギリで売り切れる。絶対に無理ってことじゃなくてギリギリ買えなくて、今回もダメかと思っていたらたまに買える。それが僕らのようなスニーカー好きをアツくさせ続けたんじゃないかな。あとはDUNK LOWの1万2000円って手頃な価格も、たとえお目当てのDUNKが買えなくても何度もリベンジしたくなる設定だった。

TAKEスカイウォーカーは読者目線に立った鋭い考えをさまざまなSNSを通して発信している

TAKE: 確かに2万円を超えるスニーカーの抽選に参加し続けるのはキツいけど、そのくらいの価格帯なら何度もチャレンジしたくなりますよ。自分もそうだしInstagramを見ても、スニーカーの主人公と言うべきモデルの価格は、安値傾向に進んでいると感じています。1万2000円が高いのか安いのかは人によって異なりますけど、何年か前まではNIKE以外でも「YEEZY BOOST」をはじめ、2万円後半を超えるスニーカーの人気も非常に高かったですから。

でも2021年は話題性の高いNIKEのスニーカーであっても、2万5000円のような価格帯が設定されていると、抽選の参加に躊躇する人が増えた気がします。コロナ禍の影響もあるかもしれませんが、1万円台前半で手に取ることができるモデルに主人公の座が移ったのは、時代を象徴する出来事だったと思いますね。

2021年の一大ムーブメントともいえるNIKE DUNK

朝岡: TAKEさんも話した通り、DUNKに限って言えば2021年は頑張れば何かしら買えたと思うんですよ。高嶺の花でしかなかったDUNKが、ちょうどいいハードルの高さで戻ってきた。手の届かない存在から、「身近で会いに行けるアイドル」になったという感じじゃないですかね(笑)。発売日の列の長さが短くなって、買えるチャンスが上がった。憧れのDUNKが頑張れば買えて、履いて楽しむだけじゃなく、スニーカー仲間と盛り上がることができる。一般目線とはちょっと違うスニーカーヘッズ目線になっちゃうけど、そのバランス感は僕らをスニーカーという趣味に走らせ続けるのに本当にちょうどよかったと思いますし、NIKEのマーケティングの上手さを感じます。

人気ブランドのシューズやアパレルが豊富に揃うABC-MART GRAND STAGE HARAJUKU店でアツく語り合う二人

DUNKから派生したレトロバッシュ人気は2022年も継続するのか

── お二人がおっしゃる通り、2020年に火が付いたDUNK人気は2021年に加速し、単なる流行の域を超えた定番スニーカーとなった印象もあります。ではユーザー目線から、このDUNK人気は2022年も継続されると思いますか? また「AIR MAX」など、DUNK以外のNIKEのスニーカーについてはいかがでしょう?

TAKE: ここまでDUNKが定番化していると、2022年もDUNKブームは続くんだろうなって思います。ただスニーカー好きとしてDUNKを選ぶことだけが正解かというと決してそうではなくて、DUNKブームの相乗効果も楽しめると思うんですよね。

ちょっとNIKEの話題から外れますが、DUNKが流行ったことでレトロなバッシュ(バスケットボールシューズ)の復刻版も注目されています。例えばNew Balanceの「BB550」は、ランニングシューズ系を選ぶのが当たり前だったNew Balanceに、レトロ系バッシュという新しい選択肢を提案して、スニーカーファンも自然に受け入れてました。adidasの「FORUM」が気になるのも、レトロバッシュの盛り上がり感があればこそ。2022年のスニーカーシーンを楽しむなら、DUNKに限らずレトロバッシュに目を向けるのも面白いと思います。

New Balance BB550

adidas FORUM MID

朝岡: NIKEのレトロバッシュには「AIR JORDAN 1」もありますけど、あっちはもうレジェンドっていうか流行りで語るスニーカーではないですからね。やっぱり2022年限定の「らしさ」でいえばDUNKが中心になるのは当然でしょうね。それにDUNKにしても完全に満たされて、もうお腹いっぱい、って人もいないと思うんです。供給過多にならない限り、2022年もDUNKは多くの人にとって憧れのスニーカーであり続けるでしょう。

テレビでもスニーカーの話題が取り上げられる機会も多いし、もう少し店頭でDUNKが選べるくらいになると、今まで買う機会がなかった人も手に取るようになるはずです。スニーカーに詳しい人だけでなく、それまで特にスニーカーに興味を持っていなかった人もDUNKを指名買いするようになれば、AIR JORDAN 1と肩を並べる殿堂入りスニーカーになるんじゃないかと。2022年はDUNKが新規のスニーカーファンを生む引き金になってほしいかな。

これからの「AIR MAX」に期待すること

TAKE: レトロバッシュ以外のNIKEでは、僕らが大好きなハズのAIR MAX系にはもう少し未来を見せてほしいと感じています。実際にはコラボモデルのAIR MAXは相変わらず人気ですし、街でもAIR MAX系のスニーカーをよく見かけますよね。間違いなく毎日履くスニーカーとしては使えるモデルなのだけど、今のInstagramでは主役になりきれないのもスニーカーファンなら実感していると思います。

「AIR MAX 270」とか誰に聞いても履き心地が最高って言いますけど、どうしてもAIR MAXには未来感を求めちゃうんです。NIKEのガチなランニングシューズが厚底シューズにシフトした今、海外のメディアでは「AIR VAPOR MAX」の進化系的なスニーカーの画像もリークされているので、今後の展開に期待ですね。

TAKEスカイウォーカーが今後の更なる進化を期待するAIR MAXシリーズ

朝岡: 僕が2022年にAIR MAXを選ぶなら、アーカイブモデルの「AIR MAX 1」や「AIR MAX 90」をレトロバッシュと同じテンションで履くかな。そしてレトロバッシュでは成立しないコーディネートをセットすれば、ワンアンドオンリー感が楽しめると思う。それでも「2022年に注目のNIKEのスニーカーは?」と聞かれたら、大きなくくりで「コートシューズ」と呼ばれるレトロバッシュとかのモデルが主役になるのは間違いないでしょうね。

僕もオススメのスニーカーをよく聞かれるんですが、スニーカーシーンの温度感も込みで聞かれていると思うので、AIR MAXよりもレトロバッシュを勧めることが多いですし、自分で抽選に参加したり店頭に並びに行ったりするのもレトロバッシュが多くなってます。

あとは「AIR FORCE 1」にも注目しています。2022年はAIR FORCE 1のデザイン誕生40周年なので、いろいろなバリエーションが登場するハズです。今日の僕がABC-MART GRAND STAGE HARAJUKUの店頭でライラックにシルバーのスウッシュが入ったローカットのAIR FORCE 1に一目惚れしたように、何気なく立ち寄ったショップで「こんないいカラーがあったんだ」といい意味で驚く体験ができるかもしれません。

朝岡が店頭で一目惚れしたというライラックのNIKE AIR FORCE1を手に、二人のスニーカートークは止まらない

まだまだ止まらない二人のスニーカー談義。スニーカーを趣味とする二人だけに、予定時間を大幅に超えてアツく語り合っていたのが印象的だった。そしてスニーカーヘッズ対談企画の後半戦は、NIKE以外のブランドの注目スニーカーがテーマ。2月21日に本サイトで公開予定なので乞うご期待。また朝岡主宰のYouTubeチャンネル『朝岡周& The Jack Band』では、実際にABC-MART GRAND STAGE HARAJUKUでスニーカーを購入するVLOGを公開中。

Shop Information

GRAND STAGE HARAJUKU

東京都渋谷区神宮前1-9-18

TEL: 03-5771-6185

営業時間: 11:00 ~ 20:00

https://map.abc-mart.net/site/detail/id/36

Profile

朝岡 周(あさおか・しゅう)

YouTubeチャンネル『朝岡周& The Jack Band』を主宰する、サックスプレイヤーの肩書を持つ異色のスニーカー系YouTuber。アパレルブランド「SAMPLES」のディレクターも務め、スニーカーだけでなく、全身のコーディネートありきのスニーカーシーン情報を発信し続けている。

YouTube 朝岡周& The Jack Band

Instagram @shu_asaoka

Profile

TAKEスカイウォーカー(たけ・すかいうぉーかー)

ブランドやアイテムの掘り下げに並々ならぬ意欲を持つインフルエンサー。スニーカー系YouTubeチャンネルにもゲスト出演している。NIKEに限らず幅広いブランドのスニーカーをユーザー目線で鋭く考察し、InstagramやTwitterだけでなくVoicyなどの新しいプラットフォームで情報を発信している。

Instagram @take_skywalker1

Voicy スニオタの”B面ラジオ”

note https://note.com/takeblog

Profile

佐藤 裕志(さとう・ひろし)

原宿エリアのアパレルショップスタッフ経験を経て、神奈川県平塚市にてスニーカー系セレクトショップ「HAND CARRY」をオープン。約6年にわたりオーナー兼バイヤーとして活動。その後ライター業やPRプランナー業を経て、2014年には双葉社『SNEAKER FANBOOK』のディレクターに就任。現在までに10誌以上のスニーカー系ムックを出版している。

Instagram @sneakerfanbook

Related Story

Shoes × Culture

同じカテゴリー一覧を見る