スニーカーマニアでPUMA JAPAN マーケティング担当の野崎兵輔さんと、高円寺の古着屋 HIMSELFを営む佐藤友軌さん。幅広くビンテージアイテムを掘ってきた二人が熱く語り合ったのは、この春に登場したABC-MART GRAND STAGE限定のPUMA「SUEDE VTG MIJ HC GS」。

1970年代に発売され、今では知る人ぞ知るコレクターズアイテムになっている「HEYNCKES COMET」をサンプリングソースにしたこのスニーカーを起点に、異なる世代の両氏がそれぞれの視点でビンテージスニーカーについて意見を交わした。

今を生きるビンテージフリークにこそ、履いてほしい

今回の対談は、野崎さんから佐藤さんへのラブコールで実現した。PUMA「SUEDE VTG MIJ HC GS」の元ネタになっている「HEYNCKES COMET」は、ビンテージPUMAのなかでも通好みな一足。発売されたのは1970年代だ。

そんな歴史的なモデルにインスパイアされた一足だからこそ、野崎さんは、年下ながらビンテージフリークとしてリスペクトする佐藤さんに履いてもらいたかったのだそう。

野崎兵輔(PUMA JAPAN)

「HEYNCKES COMETが発売された当時のPUMAのスニーカーの雰囲気をわかってくれて、かつ現代的な着こなしをしてくれそうな人に声をかけたかったんです。

佐藤さんと知り合った当時、彼はまだ二十歳くらい。若いのにビンテージのアメカジアイテムについての知識がすごくて。こんな若者がいるのかとショックを受けたんです。

そんな佐藤さんが2020年にオープンしたHIMSELFは、半世紀以上前のものから2000年代のものまで年代を問わず取り扱っている、高円寺としては異色の古着屋。服のラインナップもすごくコンセプチュアルで、既存の古着屋とは全然違うスタイルなんですよ」(野崎)

佐藤友軌(HIMSELF オーナー)

「僕が洋服に興味を持ったのは高校生のころで、当時のオシャレな人はみんなセレクトショップで洋服を買っている時代でした。僕はなるべく人と違うものが着たいという理由から古着を買うようになりました。ビンテージに詳しくなるうちに、ほかの古着好きの人たちとも違うスタイルを模索するようになって、今に至ります。

古着屋で働く以上、来店されるお客様より深い知識がないといけない、と知識を蓄えてきたのですが、今は古いものも新しいものも知った上でほかにはない提案がしたい。そんな思いでHIMSELFをオープンしました」(佐藤)

幻のモデルHEYNCKES COMET

古着については常に全方位的にアンテナを張る佐藤さん。PUMAのスニーカーを買い漁っていた時期もあった。

「PUMAにハマった時期は、古いものも新しいものもなり振り構わず買い集めていました。僕にとってのPUMAは、やっぱりスエードやレザー素材でタフなつくりのサッカーシューズ。ビンテージを買うなら、個人的には西ドイツ製の細身のものが好みです」(佐藤)

「西ドイツってところが、佐藤さんらしいよね。僕らの世代の古着好きは、買いやすくてカジュアルに履ける旧ユーゴスラビア製を選びがちなんです。旧西ドイツで生産されたモデルは、ヨーロッパの市場を狙っているので、洗練されたデザインのものが多いんですよ」(野崎)

野崎さん所有のHEYNCKES COMETのデッドストック

今回のPUMA SUEDE VTG MIJ HC GSのサンプリングソースになったHEYNCKES COMETは、1960 〜 70年代に活躍したドイツ人サッカー選手ユップ・ハインケスのシグネチャーモデル。明るいグリーンのボディと濃紺のフォームストライプの組み合わせが印象的で、ヒールカウンターにPUMAのロゴがないのが、西ドイツ製の証だ。

「不覚にも今日までHEYNCKES COMETの存在を知らなかったのですが、一度見たら忘れられないユニークな存在感がありますね。色味に当時のPUMAらしさを感じます。1970年代で、ここまでつくりが丁寧なスニーカーブランドってほかになかったんじゃないですか? 」(佐藤)

「アスリート向けのシューズだから、とてもつくり込まれていますよね。数あるビンテージのパフォーマンスシューズのなかでも、このモデルは結構マニアック。かなりのPUMA好きじゃないと知らないかもしれません。1980年代まで販売されていましたが、以降は今まで一度も復刻されたことのない、幻のモデルでもあるんです」(野崎)

復刻とは一線を画すSUEDE VTG MIJ HC GS

その幻の一足のデザインを踏襲して誕生したSUEDE VTG MIJ HC GS。今回、GRAND STAGE限定でリリースされるこだわりのモデルの特徴とは。

「『SUEDE VTG MIJ』とは、PUMAのヘリテージを詰め込んだ日本製のプレミアムシリーズのことです。ベースになっているのは1980年代初頭の旧ユーゴスラビア製のPUMA『SUEDE』。今回は、そこにHEYNCKES COMETのカラーリングを忠実に再現しました」(野崎)

SUEDE VTG MIJ HC GS/¥20,350

「SUEDE VTG MIJ HC GSは単なる復刻ではなくて、過去のモデルをリスペクトしながら、そこに日本的な新しさを組み込んだプロダクトを目指しています。懐古主義ではなく、デザインや履き心地に現代的な要素を必ず入れているんです。

ビンテージのPUMA SUEDEはインソールがフラットなんですが、SUEDE VTG MIJ HC GSはカップインソールを採用しているので、立体的なフィット感になっています」(野崎)

HEYNCKES COMET(左)と、SUEDE VTG MIJ HC GS(右)。SUEDE VTG MIJ HC GSの制作にあたって、デッドストックのHEYNCKES COMETを参照しながら、褪色を加味した上でオリジナルの再現に力を注いだという

「たしかに、ビンテージのPUMAって立ち仕事で履いていると疲れちゃうんですよね。だけど、このSUEDE VTG MIJ HC GSはめちゃくちゃ履きやすい。デザインもスポーティーすぎないので、コーディネート的にも合わせやすそうですね」(佐藤)

佐藤さんが考案してくれたSUEDE VTG MIJ HC GSを使ったコーディネートは、黒のTシャツに1980年代のスキージャケットを羽織ったミクスチャーなスタイル

Shoes Box SS Tee/¥4,290
Shoes Box LS Tee/¥4,950

SUEDE VTG MIJ HC GSの発売に合わせて、ビンテージPUMAのスニーカーとシューズボックスをプリントしたTシャツとパーカーも発売。ラバープリントの味わい深い色味と質感が特徴だ。

Shoes Box HOODIE/¥6,600

新世代の自由なスタイリングが新しいクラシックを生む

こだわりが詰め込まれたSUEDE VTG MIJ HC GSだが、だからこそ「セオリー無視で履いてほしい」というのが野崎さんの願いだ。

「僕らの世代がスニーカーを履くときは、ジーパンとかチノパンとかお決まりの履き方をしがち。対して、佐藤くんのような若い世代は本当に自由な合わせ方をしている。セオリーに縛られないからこそ、クラシックなアイテムに対する解釈も変わって、新しい輝き方をするんだと思います。スニーカーにルールなんてないし、みんながそれぞれに楽しみ方を模索してくれたらいいですね」(野崎)

「僕は雨の日もスニーカー履いちゃうし、汚れたら洗濯機で洗う(笑)。そして履き潰したら捨てる。それが僕のスニーカーとの付き合い方。このSUEDE VTG MIJ HC GSは、手入れをしながらきれいに履いてもいいと思うけど、逆に防水スプレーも吹かずにラフに履いて、スエードをあえて汚すような履き方をしてもかっこいいと思うな」(佐藤)

ビンテージの雰囲気をまといながらも、思いきり履き潰すスニーカーの醍醐味を味わえるのがSUEDE VTG MIJ HC GSの魅力。マニアックなディテールに込められた、温故知新なメッセージを受け取ってほしい。

Shop Information

HIMSELF

東京都杉並区高円寺南4-24-2 2F 3F

営業時間: 15:00~20:00

定休日: 不定休

Instagram @himself_tokyo/

Profile

野崎 兵輔(のざき・へいすけ)

PUMA JAPAN Brand Communication Manager。

小学校5年生のときにスポーツブランドのスニーカーに憧れて以降その情熱が冷めることなく、現在もPUMA BRANDに携わっている。一足ずつこと細かにまとめた“スニーカーノート”の存在があることも有名である。発売日やコンセプト、デザインソース、使用した素材、製作背景など、コラボレーションモデルからインラインに至るまで、氏がこれまでに携わってきたスニーカーを完璧に網羅しているこのノートには、スニーカー製作の助けになる情報もスクラップしている。

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