



Shoes × Fashion
スニーカーマニアでPUMA JAPAN マーケティング担当の野崎兵輔さんと、極めてパーソナルなアプローチでトラッドを突き詰めるファッションブランドRiprapを手がける西野裕人さん。スニーカーをはじめファッションを愛する二人が、この秋に登場するABC-MART GRAND STAGE限定のPUMA「SUEDE VTG MIJ GS」について深く語り合った。
秋色の絶妙な配色と信頼のメイドインジャパンが融合した永遠の定番を題材に、西野さんがオリジナリティ溢れる3つのスタイリングを提案。洋服を起点にPUMA「SUEDE」の新たな魅力が浮き彫りに。

PUMA SUEDE VTG MIJ GS/¥20,350

PUMA JAPAN野崎兵輔(左)、Riprap西野裕人(右)
西野さんとRiprapを構成するキーワード、その多くを占めるのはアメリカ由来の「トラッド」と「カジュアル」。そこに西野さんのオリジナリティが投影されている。
ジャケットやスラックス、その対極にあるジーンズなどは時代や流行に左右されない伝統的なアイテムであり、それらが組み合わさるコーディネートも普遍的なスタイルとして現代に受け継がれている。言い換えれば、永遠のスタンダード。それはPUMA「SUEDE」にも当てはまることだ。


「野崎さんから『ジャケットを使ったクラシックな要素を入れてほしい』とリクエストをいただきました。スーツのセットアップでは少し堅い印象になってしまうので、Carharttのダブルニーペインターパンツに3ボタンジャケットを。ライトなカラーコーディネートを締めてくれるのがPUMA SUEDE VTG MIJ GS。抜きの要素として選んだチューリップハットは、アメリカのスーベニアショップで見かけるようなネイティブ柄だけど、日本で手編みされている友人のブランドのものです」


「ユーズドのノルディック柄のジップカーディガンとイヤーフラップ付きのニットキャップを合わせた秋冬スタイル。パンツはPUMA SUEDE VTG MIJ GSのアッパーの色を意識して、Riprapオリジナルのスラックスを選びました。ノルディック柄のトップスにスラックスの組み合わせは新鮮なコーディネート。シューズを履き込んでスエードが荒れてくると、パンツと相まってブラウンのグラデーションを楽しめると思います」


「フォームストリップのグリーンの要素を拾ったコーディネートです。ストリートのイメージが強いPUMA SUEDE VTG MIJ GSをシックに見せるために、ベストとネルシャツをチョイス。Riprapのコーデュロイパンツは軍チノとスラックスのかたちを混ぜているのですっきりとした印象に見えます。コーデュロイとベストのピケの縦縞を意識して、秋を感じさせるスタイリングにまとめました」
野崎さんと西野さんが出会ったのは8年ほど前のこと。「今日着ているのはすべてRiprapの服なんです」と明かすコーディネートが物語っているように、野崎さんはRiprapの熱心なファンの一人だ。

「西野さんがつくるものは、カジュアルにも着れて背筋が伸びる。とくにこのデニムはシルエットの美しさに感動して、大事にはいています。スレキに最初におろした日にちを書いて、洗濯した回数も正の字で残していて。今は12ウォッシュ目です(笑)」(野崎)
Riprapを始動する以前の西野さんは、ファッションブランドBROWN by 2-tacsに勤めていた。過去にBROWN by 2-tacsは 「PUMA SUEDE for 2-tacs×BEAMS」を別注。そのプロジェクトに携わっていた西野さんにとってSUEDEは特別なモデルであり、PUMAというブランドにも思い入れがある。

「PUMAといえばSUEDEか『CLYDE』。ぼくは高校時代にサッカー部で県の記録を持っていて。それは選手権予選で0-31で負けたチームのキャプテンだったんです(笑)。そのときに履いていたスパイクがPUMAの『レセルバ』というモデルでした。いつかは日本製の『パラメヒコ』を履きたかったけど、その夢は今も叶わず。日本製のPUMAはその当時から異彩を放っていました」(西野)
SUEDE VTG MIJ GSはABC-MART GRAND STAGEがPUMAに別注したSUEDEとしては3作目。モデル名に冠したMIJはMADE IN JAPANの略称だ。シューズを構成するさまざまなディテールが日本国内の工場でつくられている。
「MIJは木型の曲線がきれいに出るように、アッパーを機械で吊り込んだ後に手吊りでも調節しているんです。それによって踵の周りや爪先の傾斜がきれいに仕上がっています。もうひとつ、MIJのスエードは原皮を海外から輸入しているけれど、なめしと染色は姫路の工場で行っていて。ぼくらは通称“姫路レザー”と呼んでいます。工場の方たちは誠実で、わざわざタンナーに出向いて、この靴に最適なスエードを調達してきてくださる。履き込んでいくうちに、毛足が荒れて動きが出てくるのはSUEDEならではの魅力。くたびれたときの味わいもいいけど、無垢な状態もまたいいんです」(野崎)

インラインのアイテムにはない特別なカラーリングもSUEDE VTG MIJ GSならではのポイント。今作では、アッパーのブラウンスエードにブルーグリーンのフォームストリップを配している。西野さんも「スエードのきめ細やかさは触った瞬間に伝わってきました。起毛が短めで上品。それ以上に印象的だったのは、カラーリングの妙を感じさせる配色です」とサンプルをはじめて見たときに驚いたという。
「ソールにソリッドのダークブラウンを選んだこともすごくいいなと。SUEDEは白ソール、ガムソールの印象が強いじゃないですか。このアッパーとの同色のコンビネーションは珍しいですよね?」(西野)
「ビンテージでもほぼないですね。カラーソールは90年代の『CLYDE NUBUCK』や『CLYDE OIL LEATHER』などに採用されていました。90年代はクラシックというカテゴリーでのモノづくりをスポーツブランドが始めたころで、オールブラックやオールブラウンのアッパーとソールの組み合わせは、当時の空気感をまとっているんですね。今回のモデルをはじめて見たとき、90年代のPUMAを思い出しました」(野崎)

前例にない色の組み合わせ。そして、メイドインジャパンのクラフトマンシップ。復刻には名作を再現して現代に蘇らせるというリスペクトが宿っているが、過去のアーカイブとはまた違うかたちでデザインやディテールを組み合わせるのは別注ならではの良さだ。
往年のSUEDEファンたちは彼らなりのこだわりを持っている。例えばシューレースは、フォームストリップのカラーに合ったものに取り替える傾向がある。今作もそのアレンジに対応できるようにブルーグリーンのシューレースを付属。左右を色違いにしても違和感がない。

「革靴っぽく履いたほうがいいと思います。渋みのある色彩が表現されたシックなモデルですから、コーディネートを締めてくれます」(西野)
「西野さんはぼくと年齢がひと回り以上も離れているのに共通項があるし、新しいことを教えてくれる。最近教えてもらったフランスの『L’ETIQUETTE MAGAZINE』というファッション誌があって、古いものと新しいものが並列に紹介されているんです。その世界観はSUEDEにも共通していて」(野崎)
西野さんと野崎さんの共通項、それはRiprapの構成要素でもある「アメリカントラッド」や「アメリカンカジュアル」などのファッションカルチャー。野崎さんはファッション関連の古本を手に入れると、西野さんのスタジオに立ち寄り、「今日買ったんだけど、ちょっと見て」と趣味の話が始まる。
「野崎さんはお宝ばかりが載っている古本を見つけてくるんです。ぼくが先輩方から教えてもらうのは、ファッションのルーツの部分というか。例えば、ひとつの洋服が古着になる前の現行品だったころの話。どこで買って、こう着ていた。そんな話を聞くと、今の自分ならどう着るのかを考えさせられます。ぼくはSUEDEの存在だけでなく、その良さを生かしたスタイリングを伝えたい。このSUEDEは現代のど真んなかのオーバーサイズドのコーディネートもいけるし、シックなコーディネートも合うと思います」(西野)
西野さんは自身が提案するコーディネートを通じて、「まだまだ可能性があるシューズなんだな」と、SUEDEの新しい表情を実感した。
「クラシックの枠に捉えられがちなモデルだけど、マイナーチェンジを繰り返して、その時代に合ったかたちでアップデートされている。古くならない靴だと思うんです」(西野)
「PUMAでは“FOR ALL TIME”な靴と呼んでいるんですよ。ぼくもいつの時代にもフレッシュで、時代に寄り添ってくれるモデルだと思っています。ありがたいことに、西野さんのようなSUEDEフリークは多い。そういう方とものづくりができると、モノのクオリティが自然とついてきますからね」(野崎)

自分の好きなものばかりを追求したくなるが、ときに誰かを完全に模倣したコスプレのようになってしまうこともある。それをリセットして新しい表情を引き出してくれるのが、西野さんのコーディネートだ。SUEDE VTG MIJ GSの3つのコーディネートには、古き良きものへのリスペクトと、新しいスタイルを表現しようとする強い意思で満ちている。
1984年生まれ。スタイリスト本間良二氏に師事。スタイリストアシスタント、BROWN by 2-tacsの生産、企画を経て2015年に独立。2016S/Sシーズンより、自身のブランドRiprapをスタート。コンセプトは、「ファッションとは個人を形容する手段と肯定し、Riprapは被服による発言化、発声化を提唱する」。また、靴紐専業ブランドSHOE SHIFTも手掛けている。
PUMA JAPAN Brand Communication Manager。
小学校5年生のときにスポーツブランドのスニーカーに憧れて以降その情熱が冷めることなく、現在もPUMA BRANDに携わっている。一足ずつこと細かにまとめた“スニーカーノート”の存在があることも有名である。発売日やコンセプト、デザインソース、使用した素材、製作背景など、コラボレーションモデルからインラインに至るまで、氏がこれまでに携わってきたスニーカーを完璧に網羅しているこのノートには、スニーカー製作の助けになる情報もスクラップしている。
Coordinate 1
Tシャツ/ジャガードリブTEE/価格未定/Riprap
ジャケット/キャバリーツイル ツータックスラックス/¥75,900/Riprap
その他/モデル私物
Coordinate 2
パンツ/キャバリーツイル ツータックスラックス/¥36,300/Riprap
ニットキャップ/ラインドニットキャップ/¥19,800/Riprap
その他/モデル私物
Coordinate 3
ベスト/オッドベスト/¥31,900/Riprap
シャツ/コットン/ヤク フランネルシャツ/¥30,800/Riprap
パンツ/コーデュロイスラックス/¥28,600/Riprap