1983年に発売されたバスケットボールシューズASICS「ファブレ・ポイントゲッター」をベースに誕生したASICS「GEL-PTG」。定番モデルがゴアテックスを搭載した、ASICS「GEL-PTG GTX」として大刷新された。世代によっては懐かしく感じることもあるだろうし、真新しく映ることもある。今回はその発売を記念して、世代の異なる3人のクリエイターによるカルチャートークをお届け。ファッションデザイナーでありながらアートディレクター、レコードブティックオーナーの弓削匠さん(70年代生まれ)、編集者の加藤将太さん(80年代生まれ)、DJのKAMOMEさん(90年代生まれ)が愛蔵のレコードや本を持ち寄った。焚き火を囲んだトークから見えてきた、ジェネレーションのギャップと共通点とは。

都市と自然の垣根をシームレスに

防水性・耐久性・透湿性・防風性に優れたゴアテックスファブリクスを採用した「GEL-PTG GTX 」はローカットとハイカットの2型・2色展開。「GEL-PTG GTX 」/¥16,500とハイカットの「GEL-PTG MT GTX」 /¥17,600

1980年代はスニーカーの歴史の中で、コートシューズが人気を博した時代だ。コートシューズとは文字通り、バスケットボールやテニスなどのコートでプレーするためのシューズのこと。80年代に生まれたコートシューズには名作と呼ばれるモデルが多く、時代を超えていまでは、新たなデザインとカラーリング、革新的な機能、ディテールの変更など、さまざまなアップデートを施す形で受け継がれている。より現代的なのは、当時のモデルをベースにタウンユース用にリニューアルされたスニーカーかもしれない。「GEL-PTG」はまさに、それに当てはまるモデルだ。

「GEL-PTG」がリリースされたのは2015年。「ファブレ・ポイントゲッター」のレトロな風合いはそのままに、ライフスタイル向けにアップデートさせたモデルとして登場した。見た目はシンプルなのに快適な履き心地。いまだに続いている音楽・ファッションなどの80年代カルチャーのリバイバルに加えて、健康志向や日常生活を心地よくするための機能的なプロダクトへの注目と相まって、レトロでありながらハイテクなこの一足はデビュー以来、さまざまな形でそのDNAを受け継いだモデルが続々と誕生している。

そんな脈々と続く歴史と変遷をもつ「GEL-PTG」の最新モデルが2022年6月30日にリニューアルされた。「GEL-PTG  GTX」はモデル名に冠した「GTX」が表すとおり、その最大の特徴は高機能素材の代表格・ゴアテックスを搭載している点にある。

ゴアテックスは防水性・耐久性・透湿性・防風性を兼ね備えた素材。従来はアウトドアウェアやシューズなどに採用されていたが、近年の傾向である「都市と自然」を行き来できるデザイン性と機能性を両立したプロダクトが増えてくると、ゴアテックスを採用したウェアやシューズは、アウトドア・アスレチックフィールドに限ったものではなくなってきた。タフなゴアテックスはより多くの体験を味わうためのマスト素材と言っても過言ではない。

パフォーマンスに優れたゴアテックスを搭載した「GEL-PTG  GTX」は、アッパーにゴアテックスを搭載。防水・透湿性に優れているということは言い換えると、濡れない、蒸れないということだ。その良さは履いてこそ100%実感することができる。使いまわしやすいローカットに加え、足首をホールドするハイカットもラインアップ。雨の日も、雪の日も、嵐の日も、ふとした瞬間に快適性と防護性の高さを実感するはず。デザインの良さにこの機能性が加わったら、無意識にヘビーローテーションしてしまう。気づけば、都市と自然の垣根は無くなっていることだろう。

今回の企画では、1980年代から現代まで歩んできた「GEL-PTG」の歴史に重ねて、70年代〜90年代生まれの3人のクリエイターによるクロストークを敢行。それぞれ異なる年代の彼らは、どのようにしてカルチャーを吸収し、クリエイションしてきたのか、その一部始終をお届け。

それぞれの80年代考。

—本日は、まったく異なる世代の3人で世代間トークです。

弓削: KAMOMEは何歳になったの?

KAMOME: 1999年生まれで、今年23歳です。

加藤: お父さんは何歳ですか?

KAMOME: たしか、48歳か49歳だったと思います。

弓削: マジか、おれと同じくらいなのか…。

—「GEL-PTG GTX」が10月に新しく発売されました。このモデル、元は1983年に発売されたバスケットシューズにルーツがあるということで、80年代のことを軸に話を進めていきたいと思います。

加藤: 元になっているのは「ファブレ・ポイントゲッター・エル」というバッシュですよね。たしか派生したモデルを『SLAM DUNK』の三井寿*1が履いていたのかな。1,2位の人気キャラだった三井の影響もあって、ぼくの中ではASICSの定番のひとつというイメージがあります。

*1 三井寿が履いていたのは金箔の日本国旗が配された「ファブレ・ジャパン・エル」というモデル。

加藤将太(左)、弓削匠(中)、KAMOME (右)

弓削: 俺にとってのASICSは、リトルリーグのときに履いてたスパイクだね。その当時がまさに80年代だから「GEL-PTG GTX」もどこか懐かさを感じるんだけど、ゴアテックス素材を取り入れてるところがいまのトレンドを掴んでる。

KAMOME: ACICSと言えば、サイドにストライプ(アシックスストライプ)が入ってる印象ですけど、このモデルは入ってないんですね。シンプルなデザインで主張しすぎていないし、いろんなファッションと合わせられそうです。

ゴアテックス素材と丸紐のシューレースがぐっとアウトドア感を高めてくれる

―「GEL-PTG」は80年代に生まれたシューズですが、今年で23歳のKAMOMEさんは80年代、わからないですよね?

KAMOME: はい。まったく体験していないので(笑)。

弓削: 俺はちょうど、小学生の頃に80年代が始まったんだよね。

加藤: ぼくはギリギリ経験している世代ですけど、幼心に覚えているのは、とにかくTVがいちばん元気だった印象ですね。80年代といえば、コレなんです。

弓削: 『元テレ』(『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』*2)ね。おれが小学生のとき、「元気が出るハウス」っていうお店が原宿の竹下通りにあって、よく買い物してたよ。表紙のマネキンも売ってたし、たけしグッズもめちゃくちゃあった。それこそ、当時はタレントショップがしこたまあって、所ジョージとか梅宮辰夫とかさ。

*2 日本テレビ系列ほかで放送されていた伝説的なバラエティ番組。「早朝バズーカ」「ダンス甲子園」「幸福の黄色いハンカチ」「勇気を出して初めての告白」など、現代では考えられない多くの名物コーナーで人気を博した。

加藤: テレビ番組ひとつで、ここまでボリュームのある本をつくれるのがすごいですよね。コンテンツもおもしろいし、雑誌みたいな読み応えもあって。

弓削: コマーシャルもそうじゃん。テレビCMが一番豊かだったときだもんね。お酒とタバコのCMも多くて、よく「ここ、どこ?」みたいな秘境で撮影してたもん。当時のCMディレクターとかは最高に楽しかったと思うよ。

—弓削さんのブランド「Adult Oriented Robes」もアートディレクションも、80年代をバリバリに感じますよね。

弓削: 俺の持論があって、15歳までに感じて得たものが、その後のセンスになると思ってるんだよね。だから自分の多感な時期が80年代だったから、そういうものを吸収するわけ。単に真似していたらただの懐古主義だけど、それをどう現代で表現しようかってことはめちゃくちゃ考える。

加藤: 去年、横尾忠則*3さんにインタビューしたとき、同じようなことを言ってました。年齢は少し違うけど、20歳までにインプットしてきたものでしか自分は生きていないと。

*3 現役86歳の画家・アーティスト。2021年にキャリアの集大成となる「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」(東京都現代美術館)を開催したばかり。

—KAMOMEさんにその感覚はありますか?

KAMOME: ぼくは高校までずっと野球しかしてなくて、ちょっと違うかもしれないです。

—18歳まで野球をしていて、どういう経緯でDJに?

KAMOME: 野球の反動も少なからずあると思うんですけど、18歳で野球部を引退してから渋谷に遊びに行くようになって、宇田川町にある「Organ Bar」*4でクラブミュージックに出合ったという感じです。そこでダンスクラシックが流れていて、自分から音楽を掘るようになって。同時に「DOMICILE TOKYO」*5で働くようになってから、音楽をもっと好きになっていって。

*4 渋谷区宇田川町に存在する老舗クラブ。
*5 原宿の古民家を改装した新感覚コンセプトショップ。「AWGE」、「LQQK STUDIO」をはじめ、入手困難な国内外のストリートブランドを取り扱っている。

弓削: それまでに現代の音楽は聴いてなかったの?

KAMOME: まったく興味がなかったんですよね。ジャンルでいうと、バレアリックとかコズミックが好きで。

—リアルタイムに80年代を経験していないKAMOMEくんですけど、その当時を連想するモノとして、何を持ってきてくれたんですか?

KAMOME: 『マイクス・マーダー』*6っていう映画のサウンドトラックのレコードです。たしか1983年のもの。A面が結構BPM遅めで、バリアリックっぽくて。ぼくがDJになりたての頃はオープンの時間ばかりを担当していたんですけど、その頃はずっとこれをかけてましたね。大阪にあるレコードショップ「rare groove」*7の通販で買いました。

*6 1984年に劇場公開されたアメリカのミステリー映画。オリジナルサウンドトラックはジョー・ジャクソンによるもの。
*7 全国にファンを持つ大阪のレコードショップ。「新たなる発見と 非ダンスミュージックのダンスミュージック化」をテーマに、ジャンルレスなレコードを取り揃えている。

コートシューズの面影を残しながら、カラーリングや高機能素材によって刷新された「GEL-PTG GTX」。ストリートスタイルにも溶け合う

弓削: 80年代の音楽って、技術が急速に発達して、シンセサイザーとかが当たり前になってきた時期なんだよね。それは音楽以外に映像もそうなんだけど、とにかくおもしろかった。ちょっとおもちゃっぽい遊びの要素があるんだけど、それがKAMOMEの世代にウケているんだと個人的に考察していて。

KAMOME: それはあるかもしれないですね。あと、自分はやっぱり生音が好きなんです。超機械的な音もいいんですけど。

加藤: 弓削さんは何を持ってきてくれたんですか?

弓削: まずはこれ見て。

加藤: 何のマグカップですか?

弓削: ロサンゼルス五輪のマグカップ。キャラクターの名前はイーグルサムね。これが俺のファーストオリンピックだったの。開会式から半端なくて、人がジェットを担いで飛んでるんだよ。世界的にいわゆるバブル期で、どこも潤ってたからいま思えば、予算が潤沢でいろいろなこだわりが詰まっていたんだよね。ロス五輪はまさにその世界的な勢いの象徴だったと思う。すべての子どもと大人が「ロス五輪、すげえ」って衝撃を受けたと思うよ。あとはレコードも持ってきていて。俺が音楽に興味をもったきっかけ、山下達郎の『BIG WAVE』(1984年)と、ザ・ビーチ・ボーイズの『Surfin’ USA』(1963年)。

—なぜ、ここにたどり着いたんですか?

弓削: 当時小学4年生だったから、普通にアニメとかを観るでしょう。朝7時からやっていた番組で、ザ・ビーチ・ボーイズのブート盤のCDの紹介がCMで流れていて。そのBGMで『Surfin’ USA』が流れているのを知って、そこから音楽にハマっていったという。

KAMOME: ブート盤のCMってすごいですね(笑)。まったく知らない時代だから、当時の話を聞いているとおもしろくて。

弓削: 80年代は、旅行会社や航空会社のCMはリゾートだらけでさ。それもあって、世の中のリゾート志向が高まった時代でもあるんだけど、もちろん俺もしっかりと刷り込まれていて、それがいまにも繋がってるんだよね。

—加藤さんは80年代のテレビに影響を受けたとおっしゃってましたけど、それがいまに繋がっていたりしますか?

加藤: 当時は90年代も含めて、今よりもプロ野球人気がすごかったんですよ。たとえば巨人戦はほぼ全試合、生中継されていた時代で。小学生で友だちがほしいとなっても、黙っていてもできないじゃないですか。なので、プロ野球の選手名鑑に載っている情報を暗記して、クラスメイトに教えまくってたんです。打率や本塁打数だけでなく選手の年俸や住所まで。そしたら、「あいつに聞けば何か返ってくる」みたいになっていって。

弓削: 知識で圧倒していたわけだ。

加藤: というより、博識であることが人とコミュニケーションをとる術だったって感じです。当時は野球でしたけど、その知識欲みたいなものが音楽やファッションに枝分かれして、いまの仕事に活かされているんだと思います。

世代間で違う、モノの見方

—常にアウトプットしているクリエイターのみなさんに、そのためのインプットについてもお聞きしていきたいです。

KAMOME: 以前は仕事が終わってからクラブに行って、年上の方たちと積極的に話して吸収しようと思ってました。でも、23歳になったいまは、曲作りに意識が向くようになっていて。「DOMICILE TOKYO」でもクラブでも、いろんな音楽を聴くようにしています。

弓削: KAMOMEの場合は一般的な同世代よりも出会いが多いし、生きていることそのものがインプットな気もするよ。俺が同じ頃はめちゃくちゃ意識的にインプットしてた。俺はファッションデザイナーになろうと思ってたんだけど、服をつくるのってファッションのことを知ってるだけじゃダメで、カルチャー全体を知らないとつくれない。それこそ、音楽と映画と文学は堀りに掘りまくったよね。ビート文学*8にハマって、アレン・ギンズバーグ*9、ジャック・ケルアック*10を読み漁ったし、ヌーヴェルヴァーグ*11関連の映画も意識的に観るようにしてた。

*8 1940年代終盤から1960年代に人気を博した、戦後のアメリカ文化と政治に大きな影響を与えた文学。一連の運動は「ビート・ジェネレーション」と呼ばれ、この文学運動の思想や行動様式に影響を受けたライフスタイルを実践する人々は「ビートニク」と呼ばれた。
*9 アメリカの詩人、活動家。
*10 アメリカの詩人・小説家。1957年に出版された『オン・ザ・ロード』は後のヒッピー文化の源流となり、青春のバイブルとして世界中で愛読されている。
*11 1950年代末に始まったフランスにおける映画運動。20代の映画作家たちによる、自由奔放な映画づくりの動き。「新しい波」を意味する。

加藤: 弓削さんは現在進行形のカルチャーをインプットすることはありますか?

弓削: ちょっと違うかもしれないけど、若いジェネレーションは常に注目してるよ。これから先の文化はKAMOMEたちの世代がつくっていくから。

クラシックなオリジナルデザインを忠実に再現し、さらに履き心地をアップデート。タウンユースだけでなくアウトドアフィールドでも頼もしい

—加藤さんはインプットの点では、どうでしょうか? 編集者という職業柄、いろいろなアウトプットが求められますよね。

加藤: これまではそれこそ、あらゆる方面に興味関心を持ってインプットしようとしていましたけど、最近はひとつのモノコトにフォーカスしていきたいと思っていて。これは『MacGuffin Magazine』*12というオランダの雑誌なんですけど、毎号ワンテーマでひとつのモノコトに基づいて考察を深めていくっていうストイックなコンセプトなんです。ロープやボールだけで一冊が構成されていて。これからはひとつのことを多面的に捉えられるような思考を強化していきたいというか。

*12 オランダ発のデザイン&クラフトマガジン。毎号ひとつのオブジェクトに基づいて考察を深めている。

弓削: なるほどね。加藤くんくらいの世代って、周りと比較しながら選択していく上での賢さがあるかもね。

KAMOME: この雑誌はSNSで知ったんですか?

加藤: いや、仕事仲間から対面で教えてもらって。それから本屋で買いました。

KAMOME: SNSは情報収集のツールではありますけど、やっぱり現場に行かなきゃですよね。

弓削: 俺たちの時代は、刑事じゃないけどとにかく足を使って稼ぐ時代だから、どれだけレコードやCDのライナーノーツで情報を得るか、文学だったらどれだけ本屋に行けるかが勝負だったというか。音楽だったら、そのアーティストが好きな映画を知って、その映画の監督は誰で、ほかにどんな作品をつくっているか、みたいに文化の繋がりを追っていく感じだったな。

加藤: ぼくらの世代はそれがとにかく雑誌だった気がします。雑誌にあらゆるカルチャーが網羅されていたから、弓削さんでいうライナーノーツのように、誰かが紹介するヒトモノコトをひたすら調べ続けて、自分なりのカルチャー情報の枝葉がつくられていく感じがありましたね。

KAMOME: ぼく、80年代の雑誌を好んで読むんです。いまよりもカジュアルな文章で、自由に作ってる感じがして、もし当時に生まれていたら載りたかったですね(笑)。

自然と都市のバランス

—ゴアテックスを搭載したASICS「GEL-PTG GTX」は都市と自然を行き来できる靴ということで、最後のトークテーマは都市×自然です。KAMOMEさん、実際に履いてみてどうですか?

KAMOME: お世辞抜きにかっこいいなと思いました。フィット感もばっちりで、これ本当に欲しいですね。もらえたりしないですか?(笑)

弓削: うん、今日の服によく合ってる。

KAMOME: アウトドアで汚れても気にならないですし、天気を気にせず履けるのはいいですね。街なかでも自然でも場所も選ばないスタイルで。

加藤: そういえば、 KAMOMEくんはこの間、「りんご音楽祭」に出演してましたよね。都市と自然でやるDJって違うものですか?

KAMOME: 全然違いますね。野外のほうが過酷で天候も変わりやすいけど、自然の中での開放感は最高に気持ちいいです。

—加藤さんも東京以外に地元の山梨にもオフィスを構えていますよね。

加藤: 最近は行けていませんけどね。その代わりというか、「自然の中に第二の家を持つ」SANUという家のサブスクリプションサービスを利用するようになりました。山梨と長野をメインに複数あって、空いているときに利用できるという仕組みなんですけど。

弓削: どんなときにそこに行くの?

加藤: アイデアを考えるときが多いですね。やっぱり普段の都市生活よりも、自然のなかに身を置くほうがアイデアが不思議と湧いてくることがあって。それがわかってきたから、最近は月1、2泊は必ず行くようにしています。

—弓削さんはAOR*13という音楽から都会的なイメージがありますが、自然は好きですか?

*13 「Adult Oriented Rock」の略。70年代後半に日本で誕生したジャンル。

弓削: 俺も基本は好きですよ。キャンプも好きだけど、寝袋でテント泊はちょっとキツイな(笑)。

加藤: 個人的に、弓削さんがゴアテックスをまとってるイメージはあまりないかもしれないです。

弓削: 「Adult Oriented Robes」も機能素材が多いし、ゴアテックスも好きだよ。いつか自分のブランドでも、ゴアテックスを使ったアイテムを出してみたいしね。

KAMOME: ぼくは足元だけ変えますね。それこそ、ゴアテックスのシューズとかは最高だなと思います。雨が降っても安心ですし。都市と自然というテーマだと、これは資生堂の非売品レコードなんですけど、オークションでやっとの思いで見つけて買いました。A面が森、B面が海をテーマにしているアンビエントのレコードです。

弓削: 吉村弘の『A・I・R(AIR IN RESORT)』(1984年)*14だね。それは永井博*15さんがアートワークを描いてるんだよ。それと、レコードから香りがするのよ。嗅覚に訴えるのは「資生堂」らしいよね。

*14 日本の環境音楽の草分け的存在である吉村弘が1984年に製作した資生堂のノベルティレコード。発売時、盤面には香水が振りかけられていた。ラベルデザインは永井博によるもの。
*15 現役74歳のイラストレーター・グラフィックデザイナー。1980年代に日本で一世を風靡し、近年世界的に再評価されているシティポップの立役者の一人。真っ青な空、強い太陽の光、ロマンチックな夕焼けといったトロピカルでクリアな作風が特徴的。

加藤: 資生堂=都会のイメージもありますし。いいコンセプトのレコードですね。

KAMOME: このあいだの「りんご音楽祭」でも、江ノ島の「Oppa-la」*16で7時間ぶっ通しでDJしたときも使いました。小鳥のさえずりとか、さざなみの音とか、最高に気持ちいいですよ。

*16 180度オーシャンビューを眺められる江ノ島のミュージックダイナー。

加藤: ぼくは安西水丸*17さんの作品集を持ってきました。ぼくは都市×自然をニュートラルと解釈していて。そのどちらも知っていてこそ、はじめて良さがわかるというか。水丸さんの作品は人物がメインだけど、その周りが見える絵は都会と自然どちらのモチーフもちょうどいい塩梅なんですよね。

*17 1970年代より小説、漫画、絵本、エッセイ、広告、装丁、翻訳など、さまざまな分野を横断して活躍したイラストレーター。

弓削: ちなみにトルーマン・カポーティ*18の小説には、安西水丸が装丁を担当して村上春樹が訳した作品もあるんだよね。

*18 アメリカの小説家。代表作は『ティファニーで朝食を』『冷血』など。

加藤: ぼくはとにかく、水丸さんが描く女性の絵が好きで。

弓削: ユーミン(松任谷由実)の『PEARL PIERCE』(1982年)のアートワークの女性なんて最高だよね。

KAMOME: やっぱりぼくみたいな若い世代からは昔の作品だけど新しく感じるんですよね。

弓削: 都市と自然の関係って、本人がどこにいるかでまったく違うじゃない。俺たちのように都市のなかで暮らしている人が感じる自然と、自然のなかで暮らしている人の都市は捉え方が違う。俺にとって自然は息抜きでしかないけど、自然にいる人にとっての都会は息抜きではないでしょう? その相関関係のように、やっぱりお互いのことを知らなきゃいけないと思うんだよね。

加藤: それは世代間の話にも通じますね。そのギャップがまた新たな気づきをくれたし、モノの見方がまったく違うというのもおもしろくて。

弓削: それを焚き火を囲みながら話すというのがいいね。また今度、どこかでやろう。

カルチャーを軸に時代とジャンルを行き来する焚き火トークはすっかり夜に。「GEL-PTG GTX」を構成する80年代は新しくも懐かしくもあり、都市と自然は捉え方次第でその垣根がなくなることを教えてくれる。アウトドアでも、街でも、いつも快適に。ゴアテックスをまとったASICSで、自分だけのコーディネートを掘り下げてほしい。

Profile

弓削 匠(ゆげ・たくみ)

ファッションデザイナー、Adult Oriented Records / Adult Oriented Robes主宰。

1974年、東京生まれ。2000年AWよりファッションブランド〈Yuge〉をスタート。その後、アーティストやファッションブランドのアートディレクションを担当する。2018年に自身のレコードショップ〈Adult Oriented Records〉をオープン。2019年には音楽をテーマにしたアパレルブランド〈Adult Oriented Robes〉をローンチ。稀代のアーバンジェントルマン。

Instagram @takumi_yuge

Profile

加藤 将太(かとう・しょうた)

編集者。1981年、山梨生まれ。大学卒業後に大手広告代理店に就職し、独立。現在はファッションブランドから地方自治体まで幅広いジャンルのクライアントを抱え、メディアやフォーマットにとらわれない多面的な編集を行っている。東京と地元・山梨に拠点を構え、全国を行き来する日々。

Instagram @shota_kato

Profile

KAMOME(かもめ)

1999年、埼玉生まれ。18歳の頃からDJ活動をスタートし、 コズミックディスコやバレアリックを敬愛した彼のバイナル2枚使いは、世代を問わずさまざまなベニューから定評を得ている。2019年には同年代の仲間とともにDJコレクティブ「Vinyl Youth」を結成。現在は「DOMICILE TOKYO」で働きながら、渋谷を拠点に精力的に活動中。

Instagram @__kamome__

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