ライフスタイルが変われば、感覚や気分も変わる。新しい時代に相応しいニュースポットへ、フレッシュなシューズと一緒に飛び込もう。第2回は虎ノ門の新虎通りに構える、グラフィティ・ストリートアートシーンに欠かせない「モンタナショップトーキョー」。世界初のグラフィティ専用のスプレー、その日本におけるフラッグショップはなぜビジネス街に? そこには、日本にグラフィティカルチャーを根付かせたい想いが深く関わっていた。数百種類のスプレー缶に、adidas Originals「SUPERSTAR FUN GRAPHIC」がよく映える。

「グラフィティ=不良の遊び」は古い?

海外では日常の風景なのに、日本ではなかなか受け入れられないものが幾つかある。たとえば、グラフィティはそのひとつだろう。カルチャーに理解のある人は「アート」と捉える一方で、悪質ないたずらと解釈する人は「落書き」扱い。日本におけるグラフィティは圧倒的に後者だ。

不思議で奇妙だと思う。ぼくらはグラフィティ出身のキース・へリングやジャン=ミシェル・バスキア、バンクシーの作品を展覧会で鑑賞したり、彼らの作品がプリントされたTシャツを普段着として袖を通したりするのに。このadidas Originals SUPERSTAR FUN GRAPHICのように、グラフィティのデザインが落とし込まれたものが日常と溶け合っているにもかかわらず。そんな矛盾を含みながらもグラフィティとストリートカルチャーの関係性において、SUPERSTARは深くリンクしている。

ヒップホップ黎明期1982年のニューヨーク・ブロンクスを舞台にした映画『ワイルド・スタイル』では、当時のアメリカ人の若者たちがSUPERSTARを履いてパーティーを楽しんでいるシーンが描かれている。DJ・ラップ・グラフィティ・ブレイクダンスなどが同時多発的に発生した当時のリアルなシーンを映し出した本作は、ストリートカルチャーを語る上で欠かせないマスターピースだ。そして、のちに主人公レイ役を演じたグラフィティ・アーティストの「リー・キュノネス」モデルのSUPERSTARが35周年のアニバーサリーで発売されたのもグラフィティシーンで支持された一足であることを象徴している。また、ヒップホップを世界的にブレイクさせた立役者であるRun-D.M.C.の存在もSUPERSTARを語る上で欠かせない。adidas Originalsの黒のセットアップに金のロープチェーン、頭にはKANGOLのフェドーラ、そして足元は真っ白なSUPERSTARというスタイルはファッションアイコンとして今なお影響を与え続けている。そんな蜜月的な関係の中で、今回のシューズは必然的でありながらも今までにない新たなデザイン。メインストリームとアンダーグラウンドをつなぐ架け橋的な存在ともいえるSUPERSTARの新境地を垣間見ることができる。

adidas Originals SUPERSTAR FUN GRAPHIC/¥13,200

欧米では街並みの一部となっているストリートアート。それが日本で許容されにくい背景としては、景観に対する法律の違いや、カルチャーへの理解が足りていないことなどが影響している。もちろん、その状況は簡単に変えられるものじゃない。でも、東京オリンピック・パラリンピックにおけるスケートボードのように、「不良の遊び」というイメージを塗り替えられるチャンスはきっとあるはず。モンタナショップトーキョーはそう願いながらグラフィティカルチャーを発信し続けている、日本のグラフィティシーンを語る上で重要な存在だ。

モンタナショップトーキョーは、スペインはバルセロナに誕生したスプレーペイントのブランド「モンタナカラーズ」の日本国内正規代理店。2010年、都立大学駅にオープンしてから2019年には虎ノ門と新橋を結ぶ新虎通りに場所を移し、グラフィティとは縁遠いビジネス街の一画をベースにしている。ショップマネージャーは移転の経緯について次のように語る。

オープン当初から運営を行うショップマネージャー

「このエリア全体をストリートアートにしようという企画があって、出店を誘われたのがきっかけです。ビジネス街にグラフィティというギャップっておもしろいでしょう。ビジネスパーソンから意識を変えられたら、世の中へのインパクトも大きいんじゃないのかなと思って」

ショップで扱っているのはもちろん、モンタナカラーズのスプレーだ。ブランドのシグネチャーは「94」と「HARDCORE」の2種類。ブランド創設の年をプロダクト名に冠した前者は世界で最初に発売されたグラフィティ専用のスプレーであり、その色数は200種類を超えている。94よりグロッシーな質感のHARDCOREも180種類超と、両方を合わせると約400ものカラーバリエーションを誇る。カラバリだけではなく品質も折り紙つき。だからこそ、全国のグラフィティライターやストリートアーティストがこの場所を訪れてやまない。

定番の94や人気のHARDCOREでもマイナーチェンジが繰り返されており、さまざまなパッケージやカラーがある

スプレーだけでなく、マーカーなども取り揃えている

「プロオンリーのお店でありたいから、入口のドアに『ウインドウショッピングはお断り』と書いてあるんですけど、あくまでもジョークです(笑)。冷たくはしないから安心して入ってきてください。モンタナカラーズのスプレーはとにかく発色が良くて経年変化に耐えられる。アメリカで他ブランドのスプレーとの比較として、貨物列車のコンテナにグラフィティを描く実験をイベント的にやったんですよ。そしたら、モンタナカラーズのスプレーのほうは圧倒的にキレイに残っていて」

そんなエピソードを聞くと、adidas Originals SUPERSTAR FUN GRAPHICにスプレーを吹き付けてカスタマイズしてみたくなる。

adidas Originals SUPERSTAR FUN GRAPHIC/¥13,200

adidas Originals SUPERSTAR FUN GRAPHIC/¥13,200

adidas Originals SUPERSTAR FUN GRAPHIC/¥13,200

これでもかというほどに重なるアクシデント

モンタナショップトーキョーがある新虎通りはコロナ禍の影響を受けて、エリアにオフィスを構える企業はリモートワークにシフト。オフィスワーカーの姿は確実に減っている。さらに、東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせて行う予定だったグラフィティのイベントも軒並み中止に。周辺には名だたる企業も多く、コラボレーションの予定を幾つも控えていた。千載一遇のチャンスが目の前に迫っていたのに、これでもかというほどの不運が重なってしまった。

「思い描いていた流れが近づいてきたなと思ったんですけどね。あのビルにもこのビルにも、今頃はグラフィティでいっぱいになる予定だったんですよ。でも、今はイベントもなければ、フリーウォールもなくて」

フリーウォールとは自由に描ける壁のことだ。ショップマネージャーによると、日本にフリーウォールがひとつもないことがカルチャーの成長と発展を止めている最大の原因だという。

「欧米にはグラフィティやストリートアートを受け入れるための土壌があるんです。たとえば、ポルトガルのリスボンなんて昼間から描いても何も言われませんし、通りすがりの人も『頑張って!』という感じに声を掛けるのが当たり前で。日本とはカルチャーが違いすぎますね。壁がいっぱいあっても描けない。こればかりは法律が変わらなければ状況を変えられないんです。自分の家の外壁に絵を描いても規制があるって知ってますか? ある比率以上のスペースに絵を描く場合は申請が必要になってくるんですよ。昔は桜木町、駒沢公園、代々木公園とか、いろいろな場所にストリートアートがあったんです」

いつか、日本中にフリーウォールを

規制緩和がなければ、日本におけるグラフィティの未来はない。大きな障害がありながらも、どうにかして状況を変えたいと模索している。

「フリーウォールをつくることが一番の目標ですね。いつか、どこでも描ける壁を用意しないと文化は育たないし、東京の壁はもっと汚れてしまう。これではイリーガルな絵が増えるばかりですよ」

カルチャー全体としては難しい状況がありつつも、ネガティブな話題ばかりではない。2021年6月、新虎通りの一画にSHINTORA PRESSというアートギャラリーがオープンした。1階はグラフィティを中心としたストリートアートの展示空間、2階より上はアーティストのアトリエという構造のマルチスペースだ。文化を創造して、世に発信していくことをより象徴的に行えるスペースとして、多くのアーティストやクリエイター、そしてこの街の人々に利用される可能性を秘めている。さまざまな人に利用される、という意味では、モンタナカラーズのスプレーもその用途に想定外の広がりを見せている。

「耐久性と発色の良さから、車やBMX、バイクの塗装で使われるようになって。お母さんと子どもがキックボードの色を塗るためにウチのスプレーを買ってくれることもあります」

東京のスケートパークにはスケボーを楽しむ子どもたちの姿が目にわかるように多くなっている。カルチャーの人口が増えれば、それだけ世の中のイメージを変えられるチャンスも増えてくる。グラフィティシーンにとっても、子どもにカルチャーを教える機会はとても重要だ。ところが、ワークショップなどでグラフィティの楽しさを伝えたとしても、現状はイベントが終わっても、そのまま描きに行ける場所はない。

いつか、日本中にフリーウォールを。大人も子どもも、プロもアマチュアも混ざり合う、ストリートアートのコミュニティが広がっていく。その風景にモンタナカラーズのカラフルなスプレーが色を添える。

Shop Information

MONTANA SHOP TOKYO

東京都港区西新橋2-19-5 カザマビル1F

TEL: 03-6873-3063

営業時間: 14:00 ~ 16:00

定休日: 日、月、祝

http://montanacolors-jp.urdr.weblife.me/index.html

Instagram @montanacolors_japan

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