Story

Shoes × Culture

グルメハイ&ロー銀座の懐の深さを“舌で”発見するアップタウン・バーとダウンタウン居酒屋

Photography Madoka Shibazaki
Text Shigekazu Ohno(lefthands)
Edit Momoko Naito
Collaboration XICO

大切な人と特別な時間を過ごしたいとっておきの名店から、いつもの仲間とカジュアルに楽しみたい馴染みの店まで、あなたの日常を彩るスポットを紹介する企画「グルメハイ&ロー」。今回は世界に知られた大人の街、銀座にフォーカス。敷居が高いというイメージがあるかもしれないが、何もフレンチのフルコースやカウンター席でいただく鮨だけが銀座グルメではない。知っていれば顔なじみになれそう&仲間にちょっと自慢できそうな、スポット使いのできるハイ&ローをご紹介しよう。

銀座の裏路地でちょっと一杯。ツウを気取れる老舗大衆居酒屋

ビルの谷間に突然あらわれる、創業1968年の歴史ある居酒屋

「ABC-MART GRAND STAGE GINZA」の3軒隣。錚々たるブランドショップが居並ぶ並木通り沿いに歩を進めると、すぐに昭和感満載の立て看板が見えてくる。イタリアンレストランの手前にある、ちょっとした隙間とでもいうような小路。その突き当たりにあるのが、知る人ぞ知る銀座の意外な大衆居酒屋。創業1968年の老舗『三州屋』だ。

訪れたのは平日の昼下がり。店内では、まだ大勢の客が食事をとっている。しかも、酒杯を傾けるツワモノたちの姿もちらほら。壁一面に下げられたメニュー札の間に覗く昭和レトロなポスターが、なんともいい味を出している。

そう、ここは大人の街、銀座にあって、「安くて、美味くて、昭和時代へのタイムトラベルが楽しめる」と人気のアナザーワールド。客層も、いかにも常連筋のおじさんたちから、エレガントな装いの旦那衆、アパレルの販売員と多様な職種の人が訪れるスポット。空間を満たす、その活気あふれるダイバーシティ感を味わいたくて、ここを訪れる人も少なくない。

銀座ではあまり出会えない、味わいのある家庭的な定食を楽しめる

ユニークなのは、昼と夜のアイドリングタイムがないこと。なぜ? と思うかもしれないが、その答えは、ゆっくり昼呑みをする客層が多いから。新鮮な刺身やあつあつのフライなどを肴に飲む酒は、エプロン姿も渋い給仕のおばさんたちとの会話、そして「明るいうちから飲んじゃってる」という背徳感も相まって、めっぽう美味い。「仕事がOFF」という平日があったら、ぜひふらりと立ち寄ってみてはいかがだろうか。

「鳥豆腐」はこのお店の看板メニュー。480円

「鳥豆腐」はこのお店の看板メニュー。480円

いろんなものをつまめるのが居酒屋のいいところだが、看板メニューの「鳥豆腐」は外せない。鶏もも肉を豆腐と春菊とともに煮込み、ポン酢でいただくというシンプルなこの一皿。季節を問わず、ビールにも日本酒にも文句なしに合う。「アチチ!」と言いながらハフハフ食べれば、あなたももう常連を気取ることができるはず。

銀座に行きつけのバーを持つという粋、店主こだわりの美意識に酔う

日本の感性にこだわってしつらえられた上質な空間

紳士淑女が闊歩していたハイソサエティな街、それがここ6丁目界隈だ。交詢社通り、並木通り辺りには高級クラブが軒を連ね、夜にはお迎えの高級車がずらりと並ぶ。『BAR yu-nagi(ユウナギ)』は、そんな煌びやかな銀座の一隅に、ひっそりと隠れるようにある。

「きちんと修行して、お客様がついてから独立するのであれば、店に無粋な立て看板など必要ない。銀座ではずっと、そう言われてきたものですから」。そう笑顔で話してくれたのは、店主でバーテンダーの神木俊行さん。銀座らしいエピソードである。

茶道のたしなみを持つ神木さんは、粋な着物姿で迎えてくれる。カウンター7席、ソファー6席の小体な店を一人で切り盛りする彼は、元JA(農協)職員という異色の経歴の持ち主だ。

ほの暗さの心地いい空間は、穏やかな夕凪に浮かぶ船内のイメージ。5mのケヤキのカウンターにジョージ・ナカシマの名作椅子が整然と並ぶ様はとても美しく、そこに座ることで、自分もその風景の一部になれるのかと嬉しくなる。

船を想わせる照明や江戸切子のコレクションなど、店主の卓越した美意識のもとに選ばれた品々は、カクテルを楽しみながらの会話のネタにもちょうどいい。きっと、訪れるたびに新しい小さな発見があるだろう。

目にもあざやかな江戸切子のグラスが、目を喜ばせてくれる

「こだわりの農法のもとに、丁寧につくられる野菜や果物。その美味しさを引き出すカクテルをお出しすることで、ひいては農業をプロモーションしたい。そんな想いから店を始めました」。

ゆえに、メニューはオーセンティックなカクテルをメインとする。例えば、広島・田坂農園のレモンを使う「ジントニック」や、千葉・和郷園のプレミアムフルティカトマトを使う「ブラッディーメアリー」など、シンプルであるがゆえに「素材となる野菜や果物の美味しさが際立つ」というのがその理由だ。

看板カクテルの「ブラッディーメアリー」2,200円

中でも看板メニューとなっているのが、先述の「ブラッディーメアリー」。一口含むと、フルーティーなトマトの滋味溢れる美味しさが広がり、思わず笑顔になってしまう。「マスター、これ美味しいね!」となった場合は、同店のオンラインストアで素材となる野菜や果物を購入できるのもうれしいところ。

丁寧なハンドドリップで淹れてくれるのは、コーヒーハンターとして知られるJose. 川島良彰がプロデュースする「ミカフェート」のコーヒー2,200円

「アルコールは苦手」という方には、ノンアルコールカクテルも。また、実はコーヒーにも定評があることも伝えておこう。食後の酔い覚ましに、コーヒー1杯のために銀座のバーに立ち寄るというのも、粋ではないか。

Shop Information

三州屋 銀座店

東京都中央区銀座2-3-4

TEL: 03-3564-2758

営業時間: 月 〜 金 11:30 〜 22:00(L.O 21:30)/ 土 11:30 〜 22:00(L.O 21:00)

定休日: 日曜日、祝日

予算: 1,000〜3,000円ほど

Shop Information

BAR yu-nagi

東京都中央区銀座6-8-6 木の実ビル B1F

TEL: 03-3572-9977

営業時間: 月 〜 金 18:00 〜 26:00 / 土18:00 〜 24:00

定休日: 日曜日、祝日

予算: 4,000〜5,000円ほど

Profile

柴崎まどか

1990年生まれ、埼玉県出身、東京都在住。フリーランスフォトグラファーとして雑誌、広告、カタログ、アーティスト写真、映像スチルなどを手掛ける。2020年5月にはアパレルブランド「niko and…」とのコラボTシャツが発売されるなど、幅広く活動中。代表作は、俳優 笠松将を一年に渡り追った写真集『Show one's true colors.』

Instagram @shibazakimadoka

https://www.shibazakimadoka.com

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