Story

Shoes × Culture

グルメハイ&ローこだわりのアップルパイとナポリピザ、立川のニュースタンダード

Photography Takahiro Sakai
Text Kunihiro Miki
Edit Momoko Naito
Collaboration XICO

大切な人と特別な時間を過ごしたいとっておきの名店から、いつもの仲間とカジュアルに楽しみたい馴染みの店まで、あなたの日常を彩るスポットを紹介する企画「グルメハイ&ロー」。今回取り上げるエリアは、三多摩の中心都市、立川。米軍基地返還後の1980年ごろから再開発が進み、現在の北口周辺は百貨店や外食チェーンがひしめくなど暮らしやすさは多摩地区随一。つい都市部に目を向けがちだが、立川の街には、目を凝らすと良い店、面白い店がたくさん見つかる。新しさのなかにもどこか「立川らしさ」が漂うハイ&ローを、フォトグラファーの酒井貴弘の写真とともに案内しよう。

狂おしいまでのりんご愛が生んだ、ネオアップルパイ

西海岸を思わせるブルーの壁に、オブジェはりんごの木をイメージしている

JR立川駅から多摩モノレールの高架線路の下を歩きながら北へ。地元の店が多数入居しているコトブキヤビルという新しい商業施設の2階にあるのが、アップルパイが名物のダイナー『Adam's awesome PIE(アダムスオーサムパイ)』だ。

階段を上り切らないうちから、香ばしいパイの香りが漂ってくる。立川に米軍基地があったころ、ここら一帯の住所名が「カリフォルニア」だったこともあり、内装のコンセプトはアメリカ西海岸風。現在は対面席に仕切りを設け、テラス席も充実しておりコロナ対策も万全だ。

2016年にオープンした同店は今どきなおしゃれダイナーのようでいて、そのルーツは狂おしいまでの「りんご愛」にある。店長の根津祐太郎さんは、長野県が本拠地の青果問屋の3代目。初代は立川に初めて長野のりんごを持ち込み、立川で育った2代目は、祐太郎さんに新規事業として飲食店のオープンを命じた。カリフォルニアのジュリアンという田舎町がアップルパイで町おこしをしていたという逸話を知り、縁を感じた祐太郎さんは、家業の柱であるりんごを使ったアップルパイを出す店をつくることに。

「アダムスオリジナルアップルパイ」480円

目指したのは、普通のアップルパイではなく「八百屋がつくるアップルパイ」。品種の特徴をいかした、りんごの味がしっかりと感じられるパイだ。夢のアップルパイ完成のために、調理の専門学校ではひたすら試行錯誤を繰り返した。

看板商品の自信作「アダムスオリジナルアップルパイ」は、紅玉の酸味を最大限にいかすために、煮ずに生のまま焼き上げる。斬新な見た目に、初めは「こんなものはアップルパイじゃない」と一蹴されたこともあったという。しかし、そんな偏見も確かな味の前ではすぐに崩れる。パイ生地とサクサクのクランブル、そしてフレッシュな食感が残るりんごは、文字通り三位一体。他にはない絶妙なバランスのアップルパイは、新定番の風格すらある。食べやすい形状なので、テイクアウトして店前の緑道を歩きながら頬張るのも良さそうだ。

南口の「華」は、薪窯が鎮座する本格イタリアン

続いて、南口方面で見つけた「ハイグルメ」な一軒は、イタリアン『CANTERA(カンテラ)立川店』だ。立川の鉄板イタリアン『MOTHERS(マザーズ)』の姉妹店として2012年にオープン。イタリアから輸入した薪窯で焼くナポリピザを中心に、パスタやアヒージョなど本格イタリアンを提供する。

店内はテラスと仕切らずに開放的な空間が広がり、イスやテーブル、照明など一点一点すべてがこだわりのアンティークで揃えられている。マネージャーの望月奈美さんは、生粋の立川っ子。そして、元々はCANTERAのオープン当初からのファンだったという。学生時代にこの店に出会い、料理の味や店の雰囲気、そしてなによりスタッフたちのプロフェッショナルなチームとしての佇まいに惹かれてアルバイトを始めた。

「私が小学生のころは、南口エリアは危ないから近づいてはダメだと教えられるくらい、治安が悪かったんです。その後、次第に街が変わっていく中で、MOTHERSに続いてCANTERAができ、この通りの雰囲気が一気に華やいだことを覚えています」。

「マルゲリータ」1,810円 「赤エビのアヒージョ」750円

イタリアから仕入れたチーズや小麦粉は、これぞナポリ風という香ばしくもっちりとした生地で、薪窯ならではの焼き上がり。口元に運ぶとフレッシュなトマトソースとチーズの香りが鼻腔をくすぐる。

ワインのおともには、エビを頭ごとオイルで茹でた「赤エビのアヒージョ」が最高だ。エビの出汁がたっぷりと染みているオイルに、ふかふかのパーネをちぎって浸して食べるのを忘れずに。ワインを楽しんだあとは、北九州がルーツの焼酎ソーダ「ロウボール」なんてオツな一杯もある。一人飲みの客も多く、夜9時を回るとワイン好きたちが2軒目としてやってきたりと、各々が思い思いに舌を楽しませる。まさしく立川の大人のオアシスと言えるこの店は、大切な人を連れてきたくなる一軒だ。

Shop Information

Adam's awesome PIE

東京都立川市緑町4-5 コトブキヤビル201

TEL: 042-595-8375

営業時間: 平日ランチ 11:30 〜 16:00(L.O 15:00)ディナー 17:00 〜 22:00(L.O 21:00)/ 休祝日 11:30 〜 22:00(L.O 21:00)

定休日: 不定休

予算: 500〜1,000円ほど

Shop Information

CANTERA 立川店

東京都立川市柴崎町2-2-1 KSビル1F

TEL: 042-525-6290

営業時間: 11:30 〜 23:00(L.O 22:00)/ 祝日 11:30 〜 22:00(L.O 21:00)/ 祝前日 11:30 〜 23:00(L.O 21:00)

定休日: 年中無休

予算: 3,000〜4,000円ほど

Profile

酒井貴弘(さかい・たかひろ)

長野県生まれ。東京在住のフォトグラファー。主にポートレートを得意とし、広告写真や企業案件、ポートレートなどの撮影から雑誌掲載やWEBメディアでの執筆、写真教室やプリセットのプロデュースなど幅広く活動SNSでは総フォロワー12万人を超えるなどSNSでの強みも持っている。

Instagram @sakaitakahiro_



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