さまざまなブランドから新作モデルが発売され続ける現代のスニーカーシーンを、YouTubeやInstagramで活躍する二人のスニーカーヘッズが語る対談企画。前編に引き続きスニーカー系YouTuberの朝岡周、複数のSNSプラットフォームを使いこなすTAKEスカイウォーカーの二人の本音トーク! 2021年を駆け抜けたムーブメントを振り返るとともに、2022年のスニーカー選びのヒントを探っていく。

無理のないプロモーションが心地よい

── 前回ではお二人がNew Balanceに注目されているという話が出ました。さまざまなスニーカーブランドにアンテナを張るお二人から見て、2022年のNew Balanceに対する期待感みたいなモノはどこにあるのでしょうか。

TAKE: 朝岡さんと去年の初め頃、次に来るスニーカーブランドについて話したときに二人同時にNew Balanceの名前を挙げたんです。それまでのNew Balance は900番台や1000番台のUSA製を、ミドル世代が囲い込んでいたコア層の伝家の宝刀みたいなイメージだったんですよ。それが「327」や「5740」が出て、大学生らしき人たちが履きこなしているのを見てNew Balanceの入り口が広がった、完全に流れが変わったと思いました。

それでいてオーセンティックなモデルをベースにしたコラボモデルも積極的に展開して、欲しいけど買えないっていう状態をつくり出し、スニーカーヘッズと呼ばれる層がブランドから離れるのを防いでいた。その辺りが非常に上手くて、2022年も新作が出たらチェックせずにいられないスニーカーブランドのひとつになったと感じています。

読者目線の鋭い考えをSNSを通して発信しているTAKEスカイウォーカー(左)とスニーカー系YouTuberの朝岡周(右)

朝岡: 僕は流行とか全く関係なく、New Balanceは前から大好きなんですよ。スニーカーって色々な面でNIKEと比べられることが多いけど、New BalanceはいつもNIKEとは全然違う方向を向いていた。

プロモーションでもNIKEならトラヴィス・スコットとフラグメントのコラボで話題をつくるのに対し、New Balanceはサレヘ・ベンバリーやテディ・サンティスとフックアップして、一瞬「この人誰?」ってなるけど、よく調べると凄い人っていうのがわかる。そこに商業的な匂いがしないっていうか。彼らが手掛けたコラボモデルには「これってNew Balanceである必要あるの?」って首をかしげるモデルがない。世界的なブランドなのにインディーズ感がある。その無理のないプロモーションは僕にとっても非常に気持ちがいいですし、今のスニーカーシーンでNew Balance人気が再燃している理由のひとつだと思います。

TAKE: そんなプロモーションから誕生したスニーカーのひとつが「P550」で、一般発売モデルが「BB550」ですよね。実は2021年にも気になっていたんですが未だ買えてなくて、2022年中に挑戦したい一足になっています。今のレトロバッシュ人気の波に沿ったスニーカーですし、なにより550を履いている周りの人が結構な勢いで勧めてくれるんです(笑)。噂ではハイカット版の「650」の発売も控えているみたいですし、レトロクラシックな復刻モデルではありますけど、僕はNew Balanceの未体験のモデル、復刻ではなく新しいNew Balanceに挑戦するくらいの気持ちで楽しみたいですね。

New Balance BB550

店頭に並んでいる=人気が無いではない!

── 2021年にスニーカーショップの店頭を賑わせたモデルのひとつにadidasの「FORUM」があります。豊富なバリエーションがあるなかで、SNSでもいくつかのモデルに話題が集まりました。お二人はその現状をどう見られていましたか?

朝岡: 「DUNK」から派生したコートシューズ人気も手伝って、adidasのFORUMは多くの人が注目していると思います。最も盛り上がったのは2020年の末、オリジナルディテールを再現した「FORUM 84 HIGH」の白青が発売されて、僕もTAKEさんも並んでギリギリ購入できました。僕が今日履いているのがまさにそのとき購入した一足で、2021年はFORUMの年になると予想してたんです。

二人が並んで購入したというadidas FORUMのレアな一足

実際に2021年の展開を振り返るとたくさんのバリエーションが発売されていましたよね。それでみんなの手に渡るようになったことは、スニーカーシーンが盛り上がるということで見ると、もしかしたら良かったのかもしれない。僕らが必死で買った84の白青にそっくりな「FORUM MID」が2021年の早いタイミングで発売されちゃったのはすこし複雑でしたけどね(笑)。

adidas SUPERSTAR(左)
adidas FORUM LOW(右)

TAKE: 振り返ってみると、FORUMはバリエーションが多くて、全てにまでは目を向けられないまま、次の流れにシフトしてしまった状況もあると思うんですね。でも実際にABC-MART GRAND STAGE HARAJUKUに並ぶバリエーションを見ると、素直に履いてみたいと感じるFORUMが見つかるんですよ。

情報が溢れすぎている今のスニーカーシーンでは、好きなモデルしか見ない人間になりやすいんだなと。その危機感はコロナ禍で店頭から足が遠のいた辺りから持っていました。僕はWebで早く幅広い情報を得ると同時に、霞んでいる視野を店頭で晴らすことも意識しています。世の中のさまざまな状況に配慮すべきなのは当然として、スニーカーシーンはWebの世界で完結するものでは無いという事実を、ここで見たFORUMのバリエーションが改めて気付かせてくれると思いますよ。

朝岡: たしかにその通り。買えないDUNKと違ってFORUMは買える状況にあって、不特定多数にリーチできるのは非常に価値があることだと思います。FORUMのデザインが素晴らしいのは事実ですからね。僕も普通に欲しいFORUMがあったし、なんなら「SUPERSTAR」にも欲しいのがある(笑)。

プレミアムレザーとマットなスエードのスリーストライプスが特徴のSUPERSTAR。実際に素材感を見ることで新たな魅力に気付いたという

店頭に並んでいるスニーカーを「残っている」と、人気が無いかのように表現するスニーカーヘッズもいます。その気持ちもわからないワケではないけど、誰かにお勧めされるだけじゃなく、店頭に足を運んで感性でスニーカーを選ぶ体験も、趣味の入り口としては欠かせない。店頭じゃないと素材感まではわからないからね。素材感や質感の大切さって、Webでスニーカーを買うことに慣れすぎると忘れてしまいがちになる。その意味ではバリエーションが豊富なFORUMは、2022年も注目すべきスニーカーなのかもしれないですね。

2022年、そんな彼らがチャレンジしたいスニーカーとは?!

── 新しいスニーカーに挑戦するというキーワードが出ましたが、今のトレンドを押さえつつ、2022年に新たにチャレンジしてみたい、チャレンジしてほしいと感じるスニーカーブランドはありますでしょうか?

朝岡: 2022年も引き続きコートシューズ人気が継続すると思いますし、そのブームを更に面白いモノにする可能性を持ったブランドとしてPUMAは気になります。先日「SLIPSTREAM」を復刻して話題にもなっていましたが、日本のスニーカーシーンにもっとフォーカスして、面白く盛り上げてほしいですよね。

それとPUMA JAPANには野崎兵輔さんという、伝道師がいらっしゃって、色々なメディアでお話しされる機会が増えています。そのプロモーションは、手に取る一足に理由を求めがちな日本のスニーカーヘッズに刺さると思いますね。「SUEDE」や「CLYDE」、少し前にバリエーションが展開された「RALPH SAMPSON」とか、PUMAには魅力的なコートシューズが多数あります。PUMAはコラボ系を積極的に展開するイメージも強いですけど、レトロクラシックなコートシューズは野崎さんのストーリーテリングを通して、オリジナル感を大切にしながら盛り上げていただけると嬉しいですね。ただ野崎さんの情報は上級者向けのサイトに行かないと読めないことも多いので、もっと露出の場を広げてもらえるといいかも。お声がけいただければもちろん僕も全力でご協力させて頂きます(笑)。

PUMA SUEDE

野崎兵輔さんの記事はこちら
「これがジャパンメイドのスニーカー」- PUMA JAPANのスニーカーマニアが語る、「RALPH SAMPSON」復刻モデルの魅力
新・旧「SUEDE」にみた二人のPUMAマニアの思い

TAKE: 僕はReebokも気になってます。2022年にはReebok はadidasの傘下から離れるという大きな変化がありますから、「INSTAPUMP FURY」以外のReebokをスニーカーヘッズに知ってもらうチャンスだと。2021年にも「PUMP OMNI ZONE II」が復刻されたんですが、発売された際のストーリーテリングが少し弱かったように感じて、NBA選手のディー・ブラウンにまつわるエピソード以外の情報を得ることができなかったんです。

オリジナルの再現度を重視した復刻版であれば発売当時のエピソードだけでなく、その一足がどうやってスニーカーヘッズに愛されたか、その歴史も僕らが買う理由になりますからね。新しい体制のReebokは、そうした周辺情報もどんどん発信してもらえることを期待しています。

それと国内ブランドのスニーカーは2022年も変わらずフォーカスするつもりです。今まではASICS SportStyleの「GEL-LYTE III」人気が突出していた印象ですけど、2022年は新しいキーアイテムの登場に期待です。現行モデルでもバッシュを発売しているブランドなのに、2021年だとスニーカー系コートシューズは「GEL-PTG」を中心に頑張っていたイメージ。2022年はASICS SportStyleの幅広さが出ることを楽しみにしています。

朝岡: 2022年の新しいチャレンジという意味では、僕はSaucony。スニーカーとしては多くのバリエーションが発売されているワケでもないけど、何か良さそうな匂いがする。Saucony は100年以上の歴史があるブランドだし、海外のスニーカーヘッズが追っかけてるという話も耳にする。

国内でも年齢高めの層は履いてるんだけど、スニーカーヘッズに向けた大々的なプロモーションはあまり展開されていないですよね。僕のプロフィール的にも、「JAZZ」って名前のスニーカーがラインナップしてるのもグッとくるので、興味はあるんです。今はあまり情報を持っていないんだけど、自然と一足買ってみようかなって気持ちになってるんですよね。今日はせっかくABC-MART GRAND STAGE HARAJUKUさんでゆっくりスニーカーを見させていただいてるので、真剣にSauconyデビューを考えてます(笑)。

Saucony SHADOW6000/GREY BLUE

Saucony SHADOW6000/NAVY SILVER

── それでは最後に、お二人が考えている「2022年版スニーカーの楽しみ方」について教えてください。

TAKE: 僕はスニーカーに対して常にニュートラルでいたいので、自分用に選ぶのであればランニングシューズに目を向けるかもしれませんが、2022年のスニーカーシーンを楽しむ、というお題だったらレトロバッシュ、それもローカットモデルが楽しいんじゃないかと思います。

レトロバッシュが流行ってることは各ブランドさんもリサーチしてるでしょうし、今のラインナップが更に増えると思いますし、今は話題になっていないモデルが急に復刻されたりするかもしれません。

朝岡: 繰り返しになっちゃいますけど僕も誰かにスニーカーを勧めるなら、FORUMのようなコートシューズが優先になりますね。スニーカーの楽しみ方には色々あって、自分が楽しむのも大事だけど、インスタやLINEを通じて「これ買ったよ」って盛り上がるのも正解でしょ。

そのときにはコートシューズっていうキーワードをおさえると、スニーカー談義に華が咲くんじゃないですかね。発売前から話題になってたスニーカーが買えたって報告だけじゃなく、こんなカッコいいスニーカーを俺が見つけたよ!ってノリでも盛り上がって欲しい。でも僕が挑戦してみたいと思ってる一足は実はランニングシューズなんですけどね(笑)。

── ありがとうございました。

2022年もスニーカーシーンはとどまることなく、盛り上がり続けるだろう。彼らのようなスニーカーヘッズの意見も参考にしつつ、ぜひ実際に店舗に足を運んでみてほしい。今年の相棒となる運命的な一足に出会えるかもしれない。また朝岡主宰のYouTubeチャンネル『朝岡周& The Jack Band』では、実際にABC-MART GRAND STAGE HARAJUKUでスニーカーを購入するVLOGを公開中! 二人が選んだスニーカーに興味がある読者はチェックをお忘れなく。

Shop Information

GRAND STAGE HARAJUKU

東京都渋谷区神宮前1-9-18

TEL: 03-5771-6185

営業時間: 11:00 ~ 20:00

https://map.abc-mart.net/site/detail/id/36

Profile

朝岡 周(あさおか・しゅう)

YouTubeチャンネル『朝岡周& The Jack Band』を主宰する、サックスプレイヤーの肩書を持つ異色のスニーカー系YouTuber。アパレルブランド「SAMPLES」のディレクターも務め、スニーカーだけでなく、全身のコーディネートありきのスニーカーシーン情報を発信し続けている。

YouTube 朝岡周& The Jack Band

Instagram @shu_asaoka

Profile

TAKEスカイウォーカー(たけ・すかいうぉーかー)

ブランドやアイテムの掘り下げに並々ならぬ意欲を持つインフルエンサー。スニーカー系YouTubeチャンネルにもゲスト出演している。NIKEに限らず幅広いブランドのスニーカーをユーザー目線で鋭く考察し、InstagramやTwitterだけでなくVoicyなどの新しいプラットフォームで情報を発信している。

Instagram @take_skywalker1

Voicy スニオタの”B面ラジオ”

note https://note.com/takeblog

Profile

佐藤 裕志(さとう・ひろし)

原宿エリアのアパレルショップスタッフ経験を経て、神奈川県平塚市にてスニーカー系セレクトショップ「HAND CARRY」をオープン。約6年にわたりオーナー兼バイヤーとして活動。その後ライター業やPRプランナー業を経て、2014年には双葉社『SNEAKER FANBOOK』のディレクターに就任。現在までに10誌以上のスニーカー系ムックを出版している。

Instagram @sneakerfanbook

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