仕事中や移動中、そしてプライベートタイム。ひとりの時間にはいつも音楽が寄り添っている。自分の生活を形成する、9曲にして究極のプレイリストとは!? 第17回に登場するのは、卓越したラップスキルで話題沸騰のバイリンガルラッパー、MIYACHI。マンハッタンで生まれ育った生粋のニューヨーカーである彼が、東海岸カルチャーならではのHIPHOPレジェンド&アンセムをセレクト! 日米で異なる面白さ、共通する大切さ。国境も言語も越えたHIPHOPバイブル最前線!

Scene.1 Walking / Taking the Train

アメリカでは伝説的だけど、日本ではそれほど有名じゃないラッパーって結構いて。1曲目のJay Electronicaもそう。自分のなかでも2010年代のトップ5に入る曲。家でも車でもヘッドホンでも、いつも流してたよ。とくに移動中は、クールでスムースな曲がすごく合う。エネルギーはそれほど高くないかもしれないけど、ちょっとテンションが上がって自然に身体が動く感じで大好き。ここで選んだのは全部そういう曲かな。

HIPHOPに出会ったのは14、5歳のころ。それからはすごくラップを勉強して、古いJAZZやSOUL、R&Bのレコードをディグってサンプリングしたり、トラックもつくり始めた。すぐに将来はラッパーで成功したいと思ったし、音を学ぶために大学も音響工学を専攻した。好きになったものにはすべて影響を受けたし、リスペクトもしてるよ。

2曲目のFreddie Gibbsも、クラックつくってたりハスリンですごいギャングスタラップなんだけど、コメディアンみたいなコミカルなMVをつくってたりして面白い。3曲目のDave Eastは最近人気のラッパーだけど、曲がかっこいいしオシャレで、ラップもめっちゃうまい。あとニューヨークっぽさがあるね。

アメリカでも、東海岸と西海岸でカルチャーが違う。東海岸のHIPHOPカルチャーは、リリックが多くて深い。あとダークでシリアスな感じもある。僕はニューヨークの出身だから、そういう東海岸ぽさを大事にしてるし、今回はその雰囲気を日本のHIPHOPファンにも味わってもらえるような9曲を選んでみました。

Scene.2 In the Club / Drinking

日本ではなかなか難しいんだけど、アメリカだとハウスパーティーとか、屋上やウェアハウス(倉庫)のパーティーが多くて。クラブは18歳未満だと入れないし、高校生のころからそういうパーティーでみんなで遊んだり、ラップしたりしてた。これはアメリカならではのカルチャーかもね。今は一年の半分くらいを日本で過ごしてるんだけど、日本でやったら怒られた。迷惑行為、ごめんなさい(笑)。

ここの3曲は、そういうみんなで盛り上がれる感じ。クラブアンセムというか。日本の耳とはちょっと違うかもしれないけど、でもかなり売れたから日本でも有名なのかな。Meek Millは俺はもうレジェンドだと思ってるし、Young M.AもPop Smokeも、もちろんリスペクトしてる。

今回は選びきれなかったけど、最近の日本のラッパーもチェックしてるよ。LEXやOnly Uのあたりとか、シーンが広まってて面白いと思うし、日本の若いHIPHOPリスナーの感性をレペゼンしてる気がする。アメリカだと、最近はどうだろう……Lil Nas Xとか、Gunnaとか結構曲出してて気になってるかな。

クラブで盛り上がる曲かどうかってすごく大事。日本のクラブに行くと、日本人がどんな曲で一番盛り上がって、どこが本当に耳に当たるポイントかとかわかってくる。ジャンル的に何が好きか、最近どんな音が流行ってるか、若い子は今何に一番ハマってるとか、それが全部わかるから勉強になる。とくに新しい曲を出すときは、クラブ行くのは大事だね。

Scene.3 Working Out

去年、トレーナーをつけてワークアウトを始めた。腕立てのバリエーションとか、なんかつらいし痛いし、全然楽しくないんだけど。でも一日中ソファに座ってるよりは、何かしなきゃって。そういうときは怒りの感情が湧くような曲を聴きながら、本当に殴りたい顔とか想像してやるとうまくいく(笑)。ここはそんな3曲だね。

3人は知名度に差があるかもしれないけど、みんなギャングスタな育ちで、イメージ的にもヤバくて危うい感じ。オールドスクールなかっこよさもある。でも最近アメリカでは、ベジタリアンのラッパーも増えてて。人生全体を考えたら健康は大事だよね。体型はファッションにも影響するし。僕の場合はそこまでファッションフリークではないから、今も生まれ育ったスタイルのままだけど。ジーンズにTシャツ、キャップ、足元はTimberlandのブーツ。

50 Centは本当のレジェンドで、すごくリスペクトしてる。でも僕はギャングスタじゃないから、ギャングスタっぽくリリック書いたりはしない。自分のスタイルを大事にして、俺の人生を教えたい。実は最初、友だちに日本語でラップすることを提案されたときは断ったんだ。でも頑張っても見てもらえない時代が何年も続いたときに、もう成功しないの飽きた、何でもやってみよう、みたいな気分になって。絶対成功したい、って確固としたマインドもそのときにできた。それがMIYACHIの人生。

最近は日本語がうまくなってきてすごく嬉しい。前は日本語のリリックを書くのが難しくて、本当に言いたいことが伝わりにくいこともいっぱいあったから。これからの曲は、英語でも日本語でも、もっと自分の深いところを表現できるようになると思う。だからこのプレイリストも、僕の新曲やアルバムも、どっちも楽しんでもらえたら嬉しいですね。

Profile

MIYACHI(ミヤチ)

1993年、マンハッタン生まれの日米バイリンガルラッパー。クラシックピアニストの両親のもとで高校生のころから作詞などの創作活動を始め、テンプル大学で音響工学を学ぶ。2018年に公開した「Wakarimasen」では、「英語わかりません」と繰り返す中毒性の高いサビが話題となり、“日本国内のSNSで最も話題になっている曲”を集めたSpotifyの人気チャート“バイラルトップ50(日本)”にて1位を獲得した。また、これまでにRADWIMPSやm-floなどのライブに客演で参加しているほか、NYLON JAPAN、Ollieなど国内の有名ストリートファッション誌にモデルとして起用されるなど、話題急上昇中。

Instagram @kingmiyachi

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