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ムダのない未来へ。持続可能な世界へ足元から働きかけるサステナブル・フットウェア コレクション ― adidas Originals Clean Classics

Text Hiroshi Sato
Edit Momoko Naito

言わずと知れたadidasを象徴するアーカイブモデルに現代的なトレンドを融合した魅力的なスニーカーを展開するadidas Originalsは、さまざまなカルチャーにも影響を与え続けるストリートに欠かせないブランドのひとつだ。そのadidas Originals初となるサステナブル・フットウェアコレクション“Clean Classics”の展開が2020年8月にスタートした。

需要が高まっている、環境に配慮したスニーカー

adidas SUPERSTAR(FW2292)/¥14,300

adidasは環境に配慮する製品や取り組みを積極的に推進している。2016年にはリサイクルした海洋プラスチックを用いたプロダクトライン“PARLEY”をローンチし、2019年には使い古したシューズやウェアを回収して製品再生と再利用するだけでなく、協力したユーザーに15%オフのクーポンをプレゼントする“TAKE BACK PROGRAM”をスタートさせた。海外のメディアではPARLEYコレクションが2019年に当初の1500倍もの販売足数を達成し、今後も成長が見込まれる製品カテゴリーと好意的に報道されている。

adidas SC PREMIERE(FW2361)/¥16,500
adidas CONTINENTAL 80(FV8468)/¥14,300

レジ袋有料化の例を挙げるまでもなく、環境への配慮は現代的なライフスタイルにとって身近な話題である以上、スポーツメーカーが企業の社会的責任を果たすためにサステナビリティ(持続可能性)と向き合うのは当然といえる。機能的なスポーツシューズやウェアを活用して身体のパフォーマンスが向上しても、人を取り巻く環境が破壊されていては本当の意味で“豊かなライフスタイル”を手にすることは難しい。こうした時代に誕生したClean Classicsについて知識を深めることは、新しい話題に敏感なスニーカーファンだけでなく、健康的な生活に自分らしさを見出す層にとってもメリットになるだろう。

天然の資源とリサイクル素材を組み合わせたサステナブル・フットウェア

Clean Classicsの特徴はアッパーからソールまで、スニーカーを構成するあらゆるディテールで環境に配慮している点にある。このコレクションで使用される合成皮革はリサイクルポリエステルを50%使用しており、アッパーの70%以上をリサイクル素材で構成。さらに素材のアップデートだけでなく、パーツを裁断する際のパターンを最適化して廃棄物の削減にも働きかけた。そしてアウトソールにはゴムの木から抽出した天然ゴム90%と、リサイクルゴム10%を混合した“BETTER RUBBER”を採用。ゴムの木を叩いて抽出した液体を原料とする天然ゴムは再生可能な資源であり、化石燃料からつくられる合成ゴムと比較して環境への負荷が少ない特性を持つ。さらに一部のモデルでは、湖の清掃時に廃棄される藻を混合させた“BLOOM FOAM MIDSOLE”を使用している。

adidas STAN SMITH(FV0534)/¥14,300

この他にもリサイクルされたORTHLITEフォームなどを使ったソックライナーや、FSC(森林管理協議会)の認証を受けた紙製のシューレース、天然素材であるコルクを使用したインソールなど、adidas Originalsが現代のライフスタイルに提案するサステナブル・フットウェアコレクションに相応しい素材がセレクトされている。スニーカーに詳しいファンであればご存知だろうが、コルクを使ったインソールは一般的なインソールよりもクッショニングに優れている。コルク製インソールによる快適な履き心地は、サステナビリティに関心を持つスニーカーファンへのギフトといったところだろうか。

より持続可能なソリューションを見つけるための挑戦

そしてClean Classicsで特筆すべきは、adidas Originalsが誇るアーカイブモデルをベースにセレクトしている点だろう。Clean Classicsのファーストコレクションにラインナップしたのは「SUPERSTAR」や「STAN SMITH」などのオールドスクール感あふれるモデルと、そのバリエーションだ。現代のスニーカーシーンでは、adidasだけでなくさまざまなスポーツメーカーからも再生素材を使用したスニーカーが発売されている。環境に配慮したスニーカー自体は珍しい存在ではなくなりつつあるものの、中にはサステナビリティというキャッチーなキーワードを主張するあまり、履く人を選ぶ個性的なデザインを採用したり、入手困難な限定品としてラインナップするケースも少なくない。

adidas TOP TEN(FW4145)/¥14,300

もちろんユーザーに環境問題の大切さを気付かせる観点で、特別なサステナブル・フットウェアを発売する意義はある。ただ、サステナビリティという考え方が一般に浸透した現代で需要が高まるのは必然であり、環境に配慮したスニーカーはユーザーが手に取る新たな基準になり得るものだ。冒頭で紹介した海外の報道を踏まえると、そのムーブメントはこれからスタートするのではなく、既に定着しつつあると受け取るのが妥当だろう。その意味でスニーカーに詳しくなくても手に取りやすく、いつものスニーカーとして活躍してくれるSUPERSTARやSTAN SMITHがClean Classicsにラインナップしていることが重要なのだ。adidas Originals初のサステナブル・フットウェアは、いつものスニーカースタイルを少しだけ豊かに演出してくれる新たな時代を見据えたコレクションだ。

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