1987年の「AIR MAX 1」の登場以来、NIKEの名作として語り継がれているNIKE AIR MAX。来年で発売35周年を迎えるこのシンボリックなシリーズに、最新作「AIR MAX GENOME」が加わった。AIR MAXの歴史を振り返りながら、名前に冠された「ゲノム」の意味をひも解いてみよう。

透明のエアバッグを視覚化した衝撃的なデザイン

AIR MAX最大の特徴、それはNIKEが独自に開発した衝撃吸収システム、ナイキエアを露出させたデザインだ。そもそもエアバッグ型テクノロジーの発明は1970年代にさかのぼる。

最初のナイキエアを搭載したモデルは1978年に発売されたトレーニング向けのランニングシューズ「AIR TAILWIND」だ。そして、ミッドソールに覆われていたナイキエアを初めて視覚的にデザインしたのが「AIR MAX 1」。透明のエアバッグが露出した構造は「ビジブルエア」と呼ばれ、モデルの刷新を重ねる度にその容量とデザインの落とし込み方も変化を繰り返してきた。

いまだにリバイバルが続く1990年代において、もっともアイコニックなモデルは「AIR MAX 95」だ。アッパーのモノトーンのグラデーションと、蛍光イエローのコントラストによる衝撃的なデザイン。それまでヒール部分に設計されていたビジブルエアはフォアフットにも搭載され、斬新なカラーリング以上に衝撃を与えた。

それまで「AIR MAX=ランニングシューズ」とされてきたイメージを刷新し、ファッションのスタイリングにも大きな影響をもたらした。その後発売された「AIR MAX 97」、「AIR MAX 98」でもビジブルエアの見え方はより大胆に。アッパーデザインのアップデートと相まって、AIR MAXを未来的なモデルへと進化させていった。

新たなベクトルに進む2000年代のAIR MAX

インターネットの発達、普及によって世界中の情報が簡単にアクセスできるようになってきた2000年代。常に革新を遂げてきた AIR MAXの進化は、これまでとは異なる方向にシフトした。

アッパーに陸上競技用スパイクと同等の素材を用いて軽量化させ、ソールにフルレングスビジブルエアを搭載し、機能性とミニマムな美しさを追求した「AIR MAX 2003」は、以降のAIR MAXの方向性を示したとされる。

そして、2006年に発表された「AIR MAX 360」はその名のとおり、360度のビジブルエアを初めて搭載したモデルであり、NIKEが理想に掲げた究極のエアクッショニングシステムを形にしたものだ。

AIR MAX 360は、元祖であるAIR MAX 1から黎明期を作った90年代の名作たち、さらには直近のAIR MAX 2003までを総括する、歴代AIR MAXのディテールを融合することで作り上げられたひとつの到達点であり完成形だった。

その後、世の中は健康志向やオーガニックブームが注目され、そこにランニングカルチャーがリンクすることで、スニーカーのランニングカテゴリのマーケットが拡大されていく。そうした風潮に先駆けるように機能性のブラッシュアップとデザイン性の洗練を進めてきたAIR MAXは、AIR MAX 360以降も課題を洗い出し、さらなる未来を描き出す。

「史上最高の柔軟性」を誇った新型ソールユニットを搭載する「AIR MAX 2014」

「360 マックス エア ユニット」を搭載した「AIR MAX+ 2013」や、エンジニアードメッシュやダイナミックフライワイヤーを採用した「AIR MAX 2014」に続いて2017年に登場したのが、新素材Nike Flyknitをアッパーに導入した「AIR VAPORMAX」である。

AIR VAPORMAX

履く人の能力を最大限に引き出すほぼ継ぎ目のないアッパーは、フレキシブルな走りを実現し、さらに360°ビジブルエアを実現したマックスエアを9個のユニットに分割することで、見事な屈曲性を実現した。

軽さ、フィット感、走りのサポートといった機能面で飛躍を見せたAIR VAPORMAXは、Off-White™、ACRONYM、COMME DES GARCONSなど、ハイファッションブランドとのコラボレーションでも注目され、その独創的なデザインはストリートにとどまらず、シンプル、ミニマルなノームコアファッションと合わせるスタイリングでも人気を博している。

2013〜4年ごろから、最新モデルのAIR MAXをこぞって履くランナーたちや、そこから派生したスタイリングがファッション/ライフスタイル誌の誌面を踊りはじめる

2000年代に急速に発展したデジタル化、ネット文化の傍らで、加速度を増して進化を続けたAIR MAX。デジタルネイティブであり、SNSネイティブ、さらにスマホネイティブでもある1990年後半から2012年ごろに生まれた世代をZ世代と総称するが、2000年代以降のAIR MAXは、その現代的なライフスタイルに寄り添う姿勢や進化のスピード感によって、彼らと並走してきたスニーカーとも言えるかもしれない。

AIR MAXのDNAを受け継ぐ最新モデルGENOME

そんなZ世代にとってのAIR MAX像をキメラ的に具現化したAIR MAX GENOMEは、いわばAIR MAXの最初の20年を総括したAIR MAX 360とも通ずる、AIR MAXのターニングポイントとなる一足に違いない。

イエローのエアユニットが印象的なABC-MART限定モデル

モデル名に冠したGENOME=ゲノムとは、DNAに含まれるすべての遺伝情報のこと。

アッパーを見渡すだけでも、シームレスな作りと、フライワイヤーやバンプのメッシュ、ソールのカーボンファイバーといった素材が、2000年代のAIR MAXが追及した耐久性と軽量化の証のように配されている。

薄型でフルレングスのエアがAIR MAXに搭載されるのは今回が初である。また、サステナビリティが当たり前の現代にあえてアピールする必要はないが、シューズの総重量の20%以上にリサイクル素材が使われている。

耐久性に優れたトゥとヒールのTPUディテール、クッショニングを強化したソフトなミッドソールフォーム、あらゆる路面にグリップするアウトソールなどは、ランニングシーンでも心強い機能だ。快適性を求めるファッションのトレンドと、広がり続ける健康志向において、日常からスポーツまで境目なく使える一足である。

そんな2つの領域を行き来できるハイブリッドなスニーカーは現代の特徴だが、そもそもAIR MAXはシティとスポーツが交差するモデルとして愛されてきた。その事実を踏まえると、AIR MAXは今こそ履くべき一足と言え、新しさのなかに懐かしさも宿したこのAIR MAX GENOMEは、この20年間でAIR MAXが確立した新たなアイデンティティが凝縮された一足であると言えるだろう。そして、次の10年、20年の第一歩にあたる節目のモデルにもなるはずだ。

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