1908年に誕生したCONVERSE。ブランド創立110周年を超えた今もなお足元のマスターピースをクリエイトし続けるフィロソフィは現在へと継承されている。2013年から始まった「CONVERSE MADE IN JAPAN」では日本製にこだわり、「ALL STAR」や「ONE STAR」などの名作をアップデート。CONVERSEの歴史に日本のクラフトマンシップがクロスオーバーした日本のオリジナルモデルだ。今回は、その精巧なディテールに迫っていく。

世界のベーシックスニーカーを日本製でまとめあげる

110年以上に及ぶCONVERSEの歴史において、「ALL STAR」はほぼ不変のデザインとスペックで展開されているブランドを代表する名作中の名作だ。バスケットシューズとして1917 年に誕生し、その後ファッションカルチャーと結びつきながらシーンを拡大。今やスニーカーのベーシックとして世界中で愛されている。だからこそ、そのユーザー層はさまざま。年齢、性別、人種を超えて愛用される一足である。

現在、ALL STARは海外製としてインドネシアとベトナムを中心に製造。インドネシア工場のALL STARは、アメリカはノースカロライナ州のランバートン工場にて使われていた設備が代々引き継がれている。その意味において、現行モデルの仕様は90年代のALL STARと言ってもいいだろう。

ALL STARが世の中に定着する一方で、2013年には、ブランドの原点とも言える古き良きアメリカンヴィンテージテイストを追求した「U.S. オリジネーター」がデビュー。その同年、新たな高付加価値モデルとしてデビューしたのがCONVERSE MADE IN JAPANだ。その特徴は日本の高い技術で、手がけているところにある。

こだわり感溢れるCONVERSE MADE IN JAPANモデル

日本製ならではの細かなディテールの積み重ね

CONVERSE MADE IN JAPANのわかりやすい特徴は、やはりシルエットだろう。「CANVAS ALL STAR」と「CANVAS ALL STAR J」を例に説明しよう。CANVAS ALL STAR Jのラスト(木型)には80年代のものが採用されている。これは当時、日本のシューズブランドである「ムーンスター」がアメリカのコンバースの一部モデルを製造していた事に由来する。シルエットはシャープで、そのすっきりとしたフォルムはラストの効果によるところが大きい。

アウトソールの製造風景

ラストを外している様子

その他にもさまざまな日本製ならではのディテールが満載だ。アッパーに用いられているキャンバス生地も上質な国産の素材感を吟味。ホワイト、ブラック、ナチュラルホワイトの3色展開といえど、その色合いも異なる。シルエットと同じくわかりやすい特徴はトゥの形状だろう。CANVAS ALL STAR Jのトゥは小ぶりの半円型。つま先部分のディテールを変更するだけで、見た目の印象は大きく変わる。また、紐を締めたときの美しいシルエットとなるようパターンが調整されている。

トゥの側面にあたるトゥガードを貼り付けている様子

小ぶりな半円型が特徴のトゥキャップ

真横から見ると、ここにもシルエットの違いがあることに気づく。それはトゥスプリング(靴を水平な床上に置いたときのつま先の床面からの距離)。CANVAS ALL STAR JはCANVAS ALL STARよりも地面に近く反り返っていない。この接地面が多いフラットなフォルムは、デザインとしてクラシックな趣きをもたらす。このようなディテールの積み重ねによる雰囲気の演出は日本製ならではのアプローチだ。

CANVAS ALL STAR Jは地面に近く反り返っていない

細かなパーツにもこだわりが感じられる。シューレースもポリエステル素材ではなく、柔らかな優しい風合いの出やすいコットン素材に変更。シューレースを通すハトメも光沢のあるアルミにアップデート。CANVAS ALL STARとはコーティングの仕様が異なるため、真鍮のように輝きを増している。

コットン素材のシューレースに高級感のあるハトメが上品な印象を与えている

加えて、断面を見ないとわからない内側のクッショニングの構造にも違いが見られる。日本製はクッション性を支える発泡ラバーの気泡が細かいため、ソールユニットは包み込むようなクッショニングを獲得した。シャープなデザインと上質な素材感だけでなく、快適な履き心地も楽しめる。

アッパーとソールを密着させる吊り込みという作業

さらにALL STARのアイコンのひとつであるヒールラベルには、日本製の証として「MADE IN JAPAN」と記載。旧来のMADE IN USAモデルの表記を踏襲した、ヴィンテージファンの心をくすぐるデザインだ。

ヒールラベルは一つ一つ丁寧に貼り付けられている

写真左:CANVAS ALL STAR J/右:CANVAS ALL STAR ヒールラベルの大きさやデザインにも違いが見られる

2021年ニューモデルは「トリコライン」のアレンジに注目

日本製にこだわり、ミリ単位での調整するなど細部にまでこだわり抜いたCONVERSE MADE IN JAPAN。2013年の発売当初から高評価を得たが、マーケットからどんな反応が返ってくるのか一抹の不安もあったという。それもそのはず。当時のCANVAS ALL STARが5,300円に対して、CANVAS ALL STAR Jは日本製ゆえに必然的にコストが上がり、約10,000円の販売価格に。それでもディテールを追求した結果としてポジティブな評価につながっていく。2015年前後に外国人ツーリストのインバウンドが加速したときは、一時的に生産が追いつかなくなるほどの人気を博した。

工場での箱詰めの様子

その後もCANVAS ALL STAR Jは毎シーズンリリースされ、定番3色ハイ&ローカットに加えて、新しいカラー、素材替えがラインナップされている。新作の企画に共通しているのは、「昔に存在した、あるいは存在したかもしれない」という視点。そこから復刻に近しい感覚でヘリテージをなぞらえながら日本製を貫いている。

定番のBLACKに加えて、今年5月には新作3種が登場
左から:ONE STAR J SUEDE/BROWN/¥22,000
CANVAS ALL STAR J HI/BLACK/¥13,200
CANVAS ALL STAR J HI/BLACK/TORICO/¥13,200
CANVAS ALL STAR J OX/BLACK/TORICO/¥13,200

この5月には、深みのあるブラウンカラーが印象的な国産の上質なスエードをまとった「ONE STAR J SUEDE」、そして新色に「CANVAS ALL STAR J HI/OX “BLACK/TRICO”」がリリースされたばかり。CANVAS ALL STAR J HI/OX “BLACK/TRICO”は白ベースのモデルにしか使われていない赤とネイビーのトリコラインをブラックカラーのキャンバス素材に初めて採用したモデル。見てわかるとおり、ただラインを変えただけなのにアクセントをもたらすチャレンジングなデザインだ。その意味において、CANVAS ALL STAR J史上、もっともアレンジの幅を最小限に表現したモデルと言ってもいいだろう。

ALL STARは何に合わせてもどんな履き方をしてもマッチするオールラウンダーである。一方で、日本製のALL STARは、上品で落ち着いた印象にスタイリングをまとめ上げる。どちらもシンプルでオーセンティックな定番であることに変わりないが、それぞれの細かな仕様によって足元の雰囲気は大きく異なる。永遠のベーシックモデルが表現する奥行きと振れ幅を楽しんでほしい。

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