上智大学に通っていたサーヤとニシダが結成したお笑いコンビ、ラランド。芸能事務所に所属しないフリーランスとして活動するインディペンデントなスタイルが注目を集めている。「M-1グランプリ 2019」では準決勝に出場したことをきっかけに、テレビをはじめ露出の機会は増える一方。自分たちのスタイルを貫く異端の二人と、流行とカルチャーが生まれる原宿の街を歩いた。

流行なんて関係ない。自分のスタイルで原宿を歩く

駅舎と駅前の再開発を経て、ガラッと生まれ変わった原宿。コロナ禍の影響もあってしばらく訪れていなかったら、その変貌ぶりに自分だけ違う時間軸にいる浦島太郎状態な感覚を覚えた人も少なくはないだろう。だがこの街が大きく変化しようとも、若者の聖地であることに変わりはない。ここにはいつだってトレンドが集まっていて、若者たちはこの街からスタイルのヒントを見つけて、自分らしさを追求するためのきっかけを得る。

そんな、常に新しいカルチャーが生まれている一方で、流行なんて関係なく、この街を自分のスタイルで歩ける人を羨ましくも思う。今をときめくお笑いコンビ、ラランドのサーヤとニシダはまさにそれなのかもしれない。

「中学、高校、大学まで、原宿はむっちゃ来てました。中高は竹下通りを歩くだけでテンションが上がりましたね。王道のクレープを食べて、ファッションやコスメをひと通り見ていたけど、年齢が上がってくると、キャットストリートとか裏路地のいろいろなショップを見るようになって。ネットでディグってからストリート系の服を買いに行くことも」(サーヤ)

「むしろ僕は大学生のころに嫌々来てました、人に連れられて(笑)。あまり興味があるところがなくて、自分から行こうとはしなかったですね」(ニシダ)

量産型より自分の色を出せるファッションを

流行に囲まれている街かと思いきや、実は地域に根づいた渋い店もある。老舗中華料理店として知られている紫金飯店はそのひとつだ。将棋会館の近くにあることから、棋士の勝負メシの定番としてもお馴染みの場所。羽生善治永世七冠や藤井聡太八段も愛好する、原宿きってのソウルフードだ。

現在の店舗は昨年リノベーションされて、以前の赤いファサードはネオン管とグレーの外壁のスタイリッシュな印象に。ストリートウェアにadidas Originals「SUPERSTAR」を合わせた二人のスタイリングともマッチしている。

「私はストリートファッションが好きで。お笑い芸人でありつつ広告系の仕事もしているけど、会社ではキレイめな格好をしなきゃいけなくて。それがあまり好きじゃないんですよ。自分の色を出そうとするとイジられるところがあるから。『すごい靴だねー』とか言われて。『東京カレンダー』のスタイルが普通だと思い込んでいるOLが多いんですよね」(サーヤ)

「みんな、金太郎飴みたいな感じなんだ?」(ニシダ)

「ん?」(サーヤ)

「え、わかる? 金太郎飴わかるべ?」(ニシダ)

「……それで、私は周りとあまり話が合わなくて嫌だなと思っていたから、その反動で私服がストリートに偏っていったというのもありますね(笑)。ニシダはパーカーとTシャツ以外を見たことがない。あとはいつ洗っているかわからないジーンズと」(サーヤ)

「洗ってるわ! でも大学1年くらいからずっとこの格好なんですよね。上智大学にいたときは大学で売っているSOPHIAって書いてあるパーカーを1年中着てました」(ニシダ)

「退学してからもそればっか着てたじゃん」(サーヤ)

「……逆に今日の格好は絶対に自分では選ばないです。ベストとか着ないですし、帽子も基本的にはかぶらないので。だから、似合ってると言われても信じていないです。これでノせられたら手の内だと思っていますから」(ニシダ)

令和の女芸人、第七世代……。カテゴライズは嫌だけど、売れたい

原宿はちょっと歩けば、渋谷、表参道、青山、外苑前、千駄ヶ谷……という具合に、散歩しながら街並みの移ろいをグラデーション的に楽しめる。山手線をあえて原宿で降りて、隣町まで歩きたくなるもの。原宿で町中華を味わったあとは、渋谷のマンハッタンレコードへ。二人の共通項であるHIPHOPの文脈で語られるレコードショップだ。

1980年代にHIPHOPレジェンド、Run-D.M.C.が紐なしで着用して人気が爆発した、ストリートファッションのアイコン、SUPERSTAR。レザー仕様でハイエンドなテイストに
adidas Originals SUPERSTAR/¥9,889

散歩ついでに買い食いしたのは、BELL HOP SERVICEの看板メニュー「チーズステーキドッグ」。キャットストリート脇の人気うどん屋・麺散とコラボで開発した、原宿の新名物

「私は中高が女子校だったから、AKB、KARA、少女時代とかが流行っていて。周りはHIPHOP的な要素がゼロだったなかで、ニッキー・ミナージュを聴いていましたね。大学でニシダと知り合ってからはラップの話とかもするようになって、だんだんと日本語ラップを聴くようになっていきました」(サーヤ)

「僕は中2くらいでライムスターにハマって。そこから洋楽も聴き始めました。最近はwebnokusoyaro(ウェブノクソヤロウ)が好きなんですよ。YouTubeにしか曲をアップしていなくて」(ニシダ)

「ニッチだから好きなんでしょ」(サーヤ)

「そういうことじゃない!」(ニシダ)

「私は社会人1、2年目は狐火、ZORN、dodoくんとか、仕事しながらラップしている人たちが自分の境遇と似ていたので、その人たちの曲ばかりを聴いていた時期もありましたね。あとはFla$hBackS、SUMMIT関連、5lackとか。最近はお笑いのツイートがきっかけで、OTOGIBANASHI’Sのin-dさんやBIMさんと仲良くなって。TBSの藤井健太郎さんもHIPHOP好きなので、よくみんなで飲みに行って、お笑いとかHIPHOPの話とかをしています。文化放送で金曜に自分のラジオ番組を持っているんですけど、19 ~ 21時の枠だからスタッフさん的にはJ-POPを流したいところに、自分が好きなラップを1曲だけぶち込んでいます」(サーヤ)

ステージに立ち、言葉で表現する。スタイルが近しいお笑いとHIPHOP。ラランドの二人はその共通項をどのように捉えているのだろうか。

「反骨精神かな。私たちはフリーで事務所に入っていないから余計に、大きな事務所に入っている芸人さんに対して、立ち向かっていく精神性があって。それと近いものをHIPHOPに感じるというか。あとメイクマネーの精神も似ていると思っていて。私たちがどんどん売れてくると、最初のコアファンの人たちが離れていくと思うんですよ。無名のころに推してくれていた人たちってめちゃくちゃお笑いに対してアツくて。その人たちに押し上げてもらっていたのに、今年はテレビとかに出るたびに、その層が離れていく感じがしていて。それでも私たちは売れたいので」(サーヤ)

「売れたい」とは心の底から出てくる言葉。それに反して、今の状況に対するジレンマも抱えている。

「何かにつけて括られる感じが嫌なんです。令和の女芸人とか第七世代とか、ひとつの型にはめようとされて。『なんだ、それ?』と思いながらも、そのおかげでテレビに出られることも多いのは事実なんですよね。モヤモヤした気持ちをHIPHOPで安定させているというか」(サーヤ)

フリーで活動するメリットは、自分の仕事すべてを掌握できること。「その方がやらされてる感もないし、一つひとつの言動に体重を乗せられる」。“パンチライン”的な意識にも、HIPHOPのマインドが垣間見える

テレビに出られることに感謝しながらも、心のなかでは違うんだけどなとつぶやく。一方でニシダは「楽しい」と何度も言葉にする。

「僕の人生は楽しいこと以外から逃げてきたので。大学も卒業していないですし就活もしていないですし、楽しいことしかしていないんです。親とも20年くらい壊滅的にめちゃくちゃ仲悪いけど、その状況すらもおもしろいと思っていて」(ニシダ)

「いまだに反抗期が続いているっていう。親の連絡先をブロックしていて、マネージャーにお父さんから電話がかかってくるぐらいで」(サーヤ)

「でも、実家の犬だけはやさしい。名前はラテって言うんですけど」(ニシダ)

「拉致の“拉”に帝王の“帝”ね」(サーヤ)

「ちげえよ!」(ニシダ)

「ニシダの生き方は私には絶対にできない。私に何も言わないで大学を退学するし、しかも二度退学していて。でも、私と似ている人とはバチバチしちゃうだけだから、絶対にコンビを組めないんですよ。とはいえ、ニシダといると感情を押し殺す鍛錬の毎日です」(サーヤ)

「おれは逆に居心地がいいけどな!」(ニシダ)

「サーヤはひとりでも売れてたと思うけど、僕はひとりだったらお笑いもせず野垂れ死んでたでしょうね(笑)」。ニシダは泰然飄々としたアウトロー。実はまったく対照的なライフスタイル

自分にないものを持っていることを素直に認め合う二人。真逆の人生を歩みながらも、事務所に所属しないフリーランスというスタイルを曲げることなく、お笑いの世界で売れたいという野望を叶えようとしている。ラランドはサバイブしていく。叩き上げのストリートスタイルで。

サーヤ Coordinate
ダウンコート/SON OF THE CHEESE/¥49,500
スウェット/SON OF THE CHEESE/¥19,800
パンツ/X-girl store/¥8,250
ハット/STAMPD/¥18,480

ニシダ Coordinate
ベスト/Carhartt WIP/¥26,400
スウェット/COOTIE PRODUCTIONS/¥26,400
パンツ/COOTIE PRODUCTIONS/¥20,900
ニットキャップ/vintage/¥2,750/渋谷T

Shop Information

GRAND STAGE HARAJUKU

東京都渋谷区神宮前1-9-18

TEL: 03-5771-6185

営業時間: 11:00 ~ 20:00

https://map.abc-mart.net/site/detail/id/36

Profile

ラランド

2014年に上智大学のお笑いサークルで結成された漫才コンビ。
現在は、現役OLとニートとなっており、「M-1グランプリ2019」にて準決勝進出、その後2020年「新春おもしろ荘」への出演をきっかけにSNSのフォロワー数が急増。テレビ・ラジオ・イベントへのオファーが殺到中の新フリー芸人。「M-1グランプリ2020」においても準決勝に進出した。

https://www.lalande.jp/

サーヤ

Instagram @sa__ya

ニシダ

Instagram @ga__ha__ku/

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