東西南北、東京の街はエリアごとに異なる文化や歴史を持っている。繁華街でなくとも、視点の持ち方次第で街は発見に満ちたギャラリーにも博物館にもなる。今回は、気鋭のフォトグラファー清水はるみと世界有数の古書店街、神保町を巡る。

神保町といえば本の街。大手から中小の出版社と印刷会社が集まり、新書から古書までさまざまな書店が立ち並んでいる。「書を捨てよ、町へ出よう」と言ったのは寺山修司だけど、ここでは書を捨てることはなかなか難しい。世の中はペーパーレス、バーチャル、クラウドだとか、モノを所有あるいは保存することについて新しい形が次々に出てきているけど、そんな時代の変化は神保町には当てはまらない。呼吸をするように本やレコードを買ってしまう自分のようなコレクターにはたまらなく愛しい街なのだ。

神保町の古書店街、そこで出合った古本たちはいつもあることを教えてくれる。それは過去に対する新しさだ。知っているつもりでいた過去から得られる新しい発見。体験していない時代に芽生える純粋な好奇心。そして、瞬時に過去となっていく現在。そのどれもが「新しい過去」と呼べるのかもしれない。

そんな「新しい過去の発見」こそ神保町の魅力のひとつだろう。新しさと古さが同居する街だからこそ、足元はASICS 「GT-Ⅱ」のようなエポックメイキングなシューズを履きたくなる。自分と同じ1980年代に生まれたシューズは懐かしいけれども、今のZ世代やミレニアルズにとっては逆に新しく映ることもあるのだろう。そんなASICS GT-Ⅱは神保町によく似合っている。

ASICS GT-Ⅱ/¥10,450

GT-Ⅱは1986年に発売された、アシックスで初めて衝撃緩衝材のアルファゲルを搭載したシューズのひとつ。当時の欧米向けランニングシューズのフラッグシップモデルであった、X-CALIBER GTの機能性を踏襲し、さらにアルファゲルを搭載することで、クッション性をアップさせた。日々の走りとファッションコーディネート、双方で活躍するマルチな一足。

古書店をパトロールした後は喫茶店で一息つくのも神保町のルーティン。この街には昔ながらの純喫茶も数多く残っている。なかでもさぼうるは、純喫茶好きならば知らない人はいない一軒。

山小屋にエスニックな要素を足した唯一無二の外観。トーテムポールと赤電話が同じ場所に居合わせるカオスなファサードから地下の店内に潜っていくと、内観も純喫茶のクラシカルな雰囲気とは一線を画した空間が広がる。昭和30年からエイジングされてきた壁や柱はいつの時代に書かれたのかわからない落書きだらけ。ここが令和の東京であることを一瞬忘れてしまう。

さぼうるに来たならば、名物のクリームソーダを飲みたくなる。さぼうるのクリームソーダは6色展開。定番のグリーンもいいけど、あえてブルーやイエローをオーダーしたくなる。カラフルなクリームソーダをお供に買ったばかりの古本のページを進めていく。外の景色が見えない薄暗い地下、気づけば夕方前まで時間が過ぎていた。

ASICS GT-Ⅱ/¥10,450

さぼうるで休憩したら靖国通りを歩いて九段下へ。仕事の用事や日本武道館でライブやコンサートを観る以外になかなか足を運ぶことがないエリアだけど、九段下は歴史的な建築や近代建築が残っているエリア。建物を見ながら散歩しているだけでも心が満たされる。

個人的に好きなのは九段会館だ。洋風の建築に和風の屋根を組み合わせた独特の建物は2022年に地上17階建ての複合ビルとして生まれ変わる。工事現場を通ってみると、古い城郭風の建築様式はそのままに、その中から現代的なガラス張りのビルが生えるような建築に変わっていた。

過去のヘリテージに敬意を払って、意匠を継承しながらも、機能やマテリアルは最新のものを取り入れる。街の景観は建物がその印象を決める部分が大きい。だからこそあるものを残しながらアップデートするハイブリッドな進化が根付けばいいのに、と心から思う。

Profile

清水 はるみ(しみず・はるみ)

1989年生、お茶の水女子大学卒業。スタジオアシスタント、書店での写真集担当を経てフリーに。風景とスティルライフを中心に撮影している。主な個展に「The Plants in the Voynich Manuscript」(2019年, IMA gallery)、「OPEN FRUIT IS GOD」(2015年, gallery blanka)などがある。

http://shimizuharumi.com/

Profile

加藤 将太(かとう・しょうた)

編集者。1981年12月28日生まれ、山梨県笛吹市(旧春日居町)出身。紙・ウェブ媒体の企画・編集・執筆からトークイベント・番組の司会進行まで幅広く担当。2011年にウェブマガジンCONTRASTの立ち上げに携わり、2013年7月より世田谷は松陰神社商店街を活動拠点とする。翌年には「OVER THE MOUNTAIN」の屋号での活動をスタート。2016年9月に山梨県甲府市にVISUAL AND ECHO JAPANとの共同オフィスを開設し、東京と山梨を行き来するワークライフを送っている。今日も明日もこれからも、ひと山を越え続ける。

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