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巡都百景品川の品と味、高輪ゲートウェイ駅のいま

Photography Harumi Shimizu
Text Shota Kato(OVER THE MOUNTAIN)
Edit Kunihiro Miki

東西南北、東京の街はエリアごとに異なる文化や歴史を持っている。繁華街でなくとも、視点の持ち方次第で街は発見に満ちたギャラリーにも博物館にもなる。
今回は、気鋭のフォトグラファーの清水はるみが、2020年3月に開業した高輪ゲートウェイ駅から品川駅までのエリアを探訪。暫定開業したエリアと基礎工事真っ最中の地帯の壮観な光景が広がる高輪ゲートウェイ駅前から、昭和、平成の雰囲気を飲み込んだタイムレスな存在感を持つ街、品川へ。刹那と普遍のあいだにどんな街の顔が見えるのか。

東京は駅の進化によって街の景色をつくってきた都市だ。品川はそれがわかりやすい街のひとつだと思う。

今から20年近く前に東海道新幹線の品川駅が開業して、世界に名だたる大企業が続々と品川に進出してきた。それによって港南口周辺は巨大なビジネス街へと様変わりした。2020年3月14日に高輪ゲートウェイ駅が山手線に開業したばかり。駅舎にビシッと刻まれた明朝体とカタカナ混じりの駅名はまだ見慣れない。駅前には東京オリンピックを見越して、広大なイベント会場もつくられたわけだけど、肝心のオリンピックの開催は延期になって、完全に計画は狂ってしまった。一体これから、どうなっていくのだろうか。

長かった梅雨も開けて、ようやく夏も本番。最近の夏の暑さはどう考えても住みやすい国の気候とは思えないし、とりわけ今年はパンデミックのせいで僕らの生活は得体の知れないリスクと隣り合わせになってしまった。

世の中にはリモートワークなんて言葉が当たり前のように飛び交っているけど、今日もたくさんの人たちが電車に揺られて会社、あるいは学校と家を行き来している。いつになったら日常を取り戻せるのだろうか。すこしでも前向きな気持ちになりたい。だからこそ、太陽の季節を待ち焦がれていた。

1999年に完成しながらも約20年間発売されなかった幻のモデルが2020年の2月のSauconyとBODEGAのコラボをきっかけについに表舞台に。通気性に優れたメッシュ素材とネオン色の合成生地を使用したオーバーレイが特徴のモデルだ。
Saucony GRID AZURA 2000/¥14,300

オリンピック延期という想定外のアクシデントに見舞われてしまった品川だけど、この街を気に入っている。学生時代には品川で用事を済ませようなんて思わなかったのに、一周回るとその良さがわかる街なのだと思う。

個人的に一番気に入っているのは、品川プリンスホテルのエンタメ性だ。何がいいって、ホテルなのにボウリングも映画もライブも楽しめるところ。フードコートもショッピングモールよりも上質なラインナップだし、すぐ近くには『ロイヤルホスト』も品川にしかない『アンナミラーズ』もある。水族館でも遊べるし、とても都会の駅前とは思えないロケーションなのだ。

御殿山方面に歩けば、原美術館も小さな滝が流れる庭園もある。港南口の側には開発から取り残されたような、昔ながらの呑み屋横丁が現れる。ビルに囲まれたこの区画だけが、まるで昭和の世界にタイムスリップしたかのよう。港町の面影もしっかりと残されていて、屋形船が運河を行き交う様子もこの街ならではの風景だ。

新宿や渋谷のようにわかりやすいキャッチーさはない。丸の内や銀座ほどの高級感はないけど、独特の品の良さと味がある。大人になったいまだからこそ、品川の時代に左右されないムードがちょうどいい。

Profile

清水はるみ(しみず・はるみ)

1989年生、お茶の水女子大学卒業。スタジオアシスタント、書店での写真集担当を経てフリーに。風景とスティルライフを中心に撮影している。主な個展に「The Plants in the Voynich Manuscript」(2019年, IMA gallery)、「OPEN FRUIT IS GOD」(2015年, gallery blanka)などがある。

http://shimizuharumi.com/

Profile

加藤将太(かとう・しょうた)

編集者。1981年12月28日生まれ、山梨県笛吹市(旧春日居町)出身。紙・ウェブ媒体の企画・編集・執筆からトークイベント・番組の司会進行まで幅広く担当。2011年にウェブマガジンCONTRASTの立ち上げに携わり、2013年7月より世田谷は松陰神社商店街を活動拠点とする。翌年には「OVER THE MOUNTAIN」の屋号での活動をスタート。2016年9月に山梨県甲府市にVISUAL AND ECHO JAPANとの共同オフィスを開設し、東京と山梨を行き来するワークライフを送っている。今日も明日もこれからも、ひと山を越え続ける。

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