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ニューウェーブ・ファッション孤高のストリートブランド「LONELY論理」が放つ、ジャポニズムクリエーション

Text Shota Kato(OVER THE MOUNTAIN)
Edit Momoko Naito

ジャポニズムとストリートを融合した鋭いプロダクトが熱狂的な支持を得ている「LONELY 論理(ロンリー)」。最近では、『実話ナックルズ』や「世にも奇妙な物語」とのコラボレーションが話題に。1点モノのオークション販売やSNSを活用したポップアップ販売といった斬新なアプローチも、他のブランドと一線を画するものだ。デザイナーのMADSADTOOMOBさんへのインタビューからニッチなクリエーションの全貌に迫る。

― 「LONELY 論理」は存在自体がヴェールに包まれている感じがあります。

MADSADTOOMOB: ウチからメディアに露出をお願いすることは100%ないので。遊びの意識で際どいこともやっているから(笑)。

― ブランドのキーワードにあたる“論理”と“遊び”は対極にあるように思います。

MADSADTOOMOB: ブランド名は沢田研二の「ロンリーウルフ」という曲に出てくる「LONELY」がきっかけ。何度もその言葉をノートに書き殴っていたときにふいに「論理」が出てきて、どこか自分らしいなとブランド名にしたんです。ほかにも、大好きな大島渚監督の映画『戦場のメリークリスマス』の主演で登場するデヴィッド・ボウイの孤独感や当時の日本人気質とかいろいろリンクしたり。そこから、坂本龍一が手掛けたサントラの「Merry Christmas, Mr. Lawrence」をもじった「Merry Christmas Mr Lonely」が最初の作品です。世には出なかったけど、自分なりの孤独感を論理づけて表現してみようか、という雰囲気です。今でもブランド名を「ろんりーろんりー」と読む人がいるのですが自分的には「ロンリー」が正しいです。ま、それぞれ好きな読み方でいいですけどね。

― それを踏まえた上で「LONELY 論理」を立ち上げた経緯を教えてください。

MADSADTOOMOB: 独立するまでにいろいろなアパレル関連の会社に勤めてきたなかで、生産管理や企画、営業を経てブランドのディレクターをやっていたんですよ。でも、つねに海外の売れ線や流行を真似することばかりやっていたから、嫌になっちゃったんですよね。行ったこともないのに「New York」ってロゴを入れたりして、そのTシャツを沢山の人が着ているのも何か変だなと思って。それで、自分が何か発信するなら絶対に日本・東京の精神やグラフィックを取り込んだブランドを出そうと決めていたんです。

2020年に発売されたLast Orgy Tee

― その結果、他と一線を画する強烈な個性のブランドになりましたね。

MADSADTOOMOB: 偏っていった結果として「LONELY 論理」ができました。自分は基本的に成功しよう、売れようと思っていなくて。売れないミュージシャンが誰も聴かなくていいから好きな音楽をつくり続けたい気持ちと同じというか。受け手のことはよくわからないじゃないですか。だから、ずっと修行しているうちに運良く買ってくれる人がいてくれただけであって。最初は友だちにあげる、買ってよってお願いするレベルでしかやっていなかったですから。

― 身内にとどまっていたものが外に広がっていったわけですが、そのタイミングって何だったんでしょうか。

MADSADTOOMOB: 浮世絵のグラフィックって当時は珍しいものだったから人気が出て、結果的にセレクトショップへの卸しが始まったんですね。日本のカルチャーを落とし込もうとしたきっかけは、両国駅の前に相撲Tシャツを売っている店があるんですよ。2XL、3XLサイズを買っても、洗うとLサイズくらいに縮んでしまうんだけど、グラフィックはかっこよくて。これのちゃんとしたやつが欲しいなということで、浮世絵でやってみようと思ったんです。

― 浮世絵に英語のタイポグラフィを縦書きでレイアウトするなど工夫していますよね。

MADSADTOOMOB: 違和感のあるバランスでつくりたいんですよ。ただ和柄と日本語だとつまらないから、日本語と英語を組み合わせてみたりもして。海外の方も読めない感じの文法や配置が違和感というか。日本人が英語を乗っ取って破壊する、みたいなことがしたかったんです。

― 他にも漫画・アニメ的なグラフィックもありますよね。

MADSADTOOMOB: 海外の方って日本の漫画・アニメが好き過ぎてブート(非正規品)のTシャツを着ている人もいて。それが逆にかっこよくて、本家の日本人が着たら面白いし、さらにそれを何かの漫画・アニメだと間違えて海外の方が着たらまた面白いなと(笑)。最初はhikari&-さん(ひかりあんどう)というイラストレーターにお願いして、いろいろな漫画・アニメのキャラクターを元ネタ的なものとして足したり割ったり。そのままやったりもしたけど、もうさすがにできない問題作こそ最高傑作だったりしますね(苦笑)。

浮世絵からアニメまで、日本のカルチャーを落とし込んだグラフィック

― 「LONELY 論理」はプロダクトの発売時期にファッションの春夏・秋冬シーズンの概念がありませんが、なぜシーズンレスに展開しているんでしょうか。

MADSADTOOMOB: ブランドスタート時からシーズンという概念はなく、やりたいときに好きなタイミングで出しています。当然、面倒な展示会という見せ方も一切しません。商品の企画や構成もほぼ野生本能でそのときの感覚だけを信じてやっています。生産をお願いしている両国の工場とは20年以上の付き合いだから基本はお任せしていて。普通のアパレルメーカーは仕様書をつくって、プリントの位置も指示書をつくるんだけど、こちらの意図やクセも充分理解していると思うのでウチはまったくやらない(笑)。プリントがズレたり擦れてたりしても、かっこよければなんでもよくて。そのまま商品として販売しているときもあり、スピード感重視です。

― 商品をつくるペースも速いですよね。

MADSADTOOMOB: やりたいと思ったら1週間以内にはつくるっていう感じなんですよね。たとえるならば、「寿司」なんですよ。新鮮なネタはすぐ握ったほうがいいじゃないですか。戦略やマーケティングを考えて3ヶ月もかけて開発するなんて時間が勿体ない。だったら、すぐに食いたいものをつくって、飽きたらまた次のものを探せばいいと思う。自分たちのやりたいようにやる。それが売れるか売れないかは仕方ないって割り切っていますから。

― 「LONELY 論理」はグラフィックが奇抜だけど、型自体はいたってシンプルなんですよね。型からつくってみたい気持ちはありますか?

MADSADTOOMOB: どこかではありますよ、やっぱり。でも、そういう形は流行り廃りになってしまいがちだし、自分の経験から1からつくることもできなくはないけど、それよりも既製のボディにカルチャーを表現したほうが僕は面白い。CDジャケットのように表面上のわかりやすいものをつくっている感覚なんですよ。ちょっと個性的で狂ったコンビニエンスストアというんですかね。コンスタントに早くつくることが一番重要であって。今の若者は早めに買って、すぐに飽きる傾向にあるから、それがいいのかはさておき、早く次のものを買ってもらうこと自体はありがたいので(笑)。

季節に左右されず、思い立ったらすぐに商品を打ち出すスピード感が新鮮

― コラボレーションの組み合わせもユニークだと思うんです。『実話ナックルズ』や「世にも奇妙な物語」とか、雑誌やテレビドラマからの別注は大きな話題になりました。

MADSADTOOMOB: コラボレーションは自分たちからのオファーはほぼないです。来るもの拒まず、去るもの追わず精神というか。『実話ナックルズ』に関しても知人を介して連絡があり、アパレルと初コラボってことで二つ返事でOKしました。あとは売れようが売れまいがどうでも良く、やりたいかやりたくないかなので。

― 「世にも奇妙な物語」の別注は「世にも奇妙な服屋」として5日間、午前11時9分から限定20枚、1アイテム各4枚を販売するという形でオンラインストアをオープンしました。

MADSADTOOMOB: 「世にも奇妙な物語」も、面白法人カヤックの担当者の方がフジテレビの「LONELY 論理」好きな方と話が盛り上がったなかで連絡があったんですよ。最初はウソかと思ったけど、本当にあの「世にも奇妙な物語」でした(笑)。「世にも奇妙な物語」は放映が決まると、放映前にゲリライベントをやっているんですよ。それで今回は洋服にしようということで、僕らは「世にも奇妙な服屋」をオープンしました。

2018年には「LONELY 論理 米国」が始動

― 派生ブランドとして1点モノの「ONE AND 論理」をヤフオク!だけでオークション形式で販売したり、Instagramのストーリー機能で無観客ポップアップをゲリラ的に企画したりと、つねに新しいプロジェクトが動いていますが、今後の展開を聞かせてください。

MADSADTOOMOB: 実は2018年にアメリカ法人「LONELY 論理 米国」っていう会社をつくったんです。現地にスタッフ(仲間)が2名いて、まだまだこれからですが、徐々にステップアップできたらと動いています。生産もすべてメイドインUSAで、販売はアメリカで立ち上がったオンラインショップや現地のPOP UPなど少しずつやっています。アーカイブをアメリカ版に変えたりして、日本よりもわかりやすく日本語っぽくしてつくっています。「LONELY 論理」自体は、媚びない、群れない、従わないをコンセプトに変わらずブレずにやっていくつもりです。好きなタイミングでこれまで通り。ま、人気が無くなろうが、売れなくなるとかどうでもよくて、自分が「これヤバイ」って興奮するものをつくれていれば一番なんです。

Shop Information

鮫/same_esa_tokyo

知る人ぞ知る住所非公開のLONELY論理とKOSHIRO EBATAによるギャラリー&コンセプトショップ

住所: 非公開

営業時間: 不定期


気MAGURE/kimagure_usedstore

値段が魅力な古着を主体としたLONELY論理運営のセレクト、リセールストア

東京都江戸川区南小岩6-24-13 リバティーホームII M2F

営業時間: 不定期


N 浅草/n_asakusa(6/5 NEW OPEN)

LONELY論理によるワークショップ的体験ギャラリー

東京都台東区花川戸1-8-10カイダビル2F

営業時間: 不定期


www.lonely-tokyo.com

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