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COVER STORY
東京は海外の流行をローカライズして発信することに優れた都市といわれている。そんな東京23区のアウトサイド、とりわけ西側のカルチャーはほとんど知られていないような、どこかヴェールに包まれている部分がある。都心にはない独自のカルチャーが根づく東京ウエストサイドへ、サイケでローファイな女子3人組バンド・TAWINGSが、彼女たちのアー写も手掛ける写真家・小林光大とショートトリップ。




左からCony Plankton(vo,g)、Yurika(dr)、eliy(ba)
日本のガールズバンドはルックスが注目されがちだけど、TAWINGSがリスペクトしているUSインディーのガールズバンドは音楽ありきで評価されている。そんな理想的なバンドのあり方を模索するなかで、ローファイ、ポストパンク、ガレージ……といった音楽からのインプットを自分たちのものにしてきた。3人が鳴らす退廃的なのにきらめいている二律背反のサウンド、それと同じようなテクスチャーが東京のウエストサイドにも漂っている。



東京ウエストサイド、実は東京、あるいは日本とはかけ離れた表情を持っている。それをもっとも物語っているのは立川、福生エリアだろう。立川と福生は長く米軍基地があるアメリカゆかりの場所だ。一部の地域にはその面影が強く残されていて、「アメリカンビレッジ」と呼ばれるコミュニティがある。ニューカラー時代の写真集に出てきそうな平屋の住宅街は米兵やその家族向けに建てられたものだけど、今では日本人も暮らしている。
意識的、無意識的にアメリカから影響を受けてきたTAWINGSに印象を聞いてみると、「SXSW 2018」のステージに立ったテキサスでの滞在エピソードを挙げてくれた。「テキサスのAirbnbに泊まったときの感じが再現されているよね」(Cony)「うん、平屋の住宅街がテキサスの田舎みたい。芝生が整えられているのはアメリカ的だね」(eliy)「前庭をつける家の造りに外国感がある。白人女性がジョギングしていて、ここはアメリカなの? って錯覚しそうになった」(Yurika)と、日本の住宅地とまるで違う景観に当時のランドスケープを重ねていた。



レトロモダンなアイテムを現代的な感覚でコーディネート
日本のボウリング場はシンプルにボウリングを楽しむ場所だけど、アメリカではパブやガレージと同じようにライブステージが併設されていることは珍しくない。ボウリングしながらバンド演奏を楽しむことはわりと普通だったりする。基地近くのボウリング場にも、ステージこそないものの、どこかサバービアカルチャーの気配が。



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福生から連想するもの。その答えの9割は横田基地かもしれないけど、文学好きにとっては村上龍のデビュー作『限りなく透明に近いブルー』の舞台となっている街でもある。人によってはシティボーイの大先輩、片岡義男の『スローなブギにしてくれ』だったりして。『限りなく透明に近いブルー』は米軍基地の街・福生を舞台に、若者たちの退廃的な生活を描いた群像小説。妙にさわやかなタイトルとのギャップにTAWINGSとのシンパシーを感じてしまう。


VANSもアメリカ西海岸=ウエストサイド発祥のブランド。ちなみにTAWINGSのウェブサイトドメインには「hifromcalifornia」と入っているが、特別な意味はないらしい
横田基地に面したベイスサイドストリートには、立川のアメリカンビレッジとはまた異なる形でアメリカ様式の住宅やショップが連なっている。ミュージシャンや作家のなかには、福生の米軍ハウスに住みながら制作していた人たちもいたそうだ。ところで、TAWINGSが好きなアメリカとはなんだろうか。「アメリカというよりアメリカ人のフレンドリーさが好き。道ですれ違った人に『かわいいシャツだね』って声をかけられるとうれしくなる」(Cony)「家や道のサイズが開放的なところかな。あとは、良くも悪くも雑なところ。今は大きな問題が起きているけど、いろいろな人種が入り混じり合っていること自体がユニーク」(Yurika)「たしかに。アジア人が浮かずに開放的でいられる感じがあるよね」(eliy)



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ナチュラルになれる場所。多面的な都市、多面的な私たち
東京ウエストサイドのターミナル駅であり、商業都市のイメージもある立川。都下で唯一のGRAND STAGEも立川にある。そんな立川のシンボルといえば昭和記念公園。どこを切り取ってもピースフルな緑あふれる都会のオアシスも、かつては米軍基地だった。





ライブや作品を通してはクールな印象のTAWINGS。昨年、セルフタイトルの1stアルバムをリリースする直前に3人で打ち上げを兼ねて行ったという“ある場所”を聞いて、少し驚いた。「レコーディングも終わって、ジャケットのアートワークも決まって、3人でディズニーランドに行ったんですよ」(Cony)「待ちきれなくて、行く前にもConyちゃんの家でディズニーの音楽を流しながら遊んだよね。ソファをアトラクションに見立てて(笑)」(Yukari)「その日は私は不在だったけど、動画からめちゃくちゃ楽しさが伝わってきて。もう行かなくていいじゃんって思ったけど、3人で行ったディズニーは最高に最高に楽しかった」(eliy)




バンドとしてはクールに振る舞いたい一方で、3人それぞれのパーソナルなおもしろさを出せないのももったいない、と思うのが彼女たちの本音。「料理の動画もアップしてみたいんですよ。私たちにも親しみのある一面があるんだよって」(Cony)。昭和記念公園というロケーションにあってか、自然と素直な言葉が出てきたり、ステージ上の佇まいとはかけ離れた無邪気な表情を見られたり。これからはそんな飾らない自然体なアウトプットも増えていくのかもしれない。



今はライブもレコーディングも、どうしても制約がつきまとってしまうもどかしい時期。はじめてのアルバムを出せたのに、リリースツアーはキャンセル以外の選択肢はなかった。だからこそ、音楽への気持ちは高まる一方。いつかUSツアーに繰り出せたら。ウエストサイドストーリーの締めくくりは、カリフォルニアのディズニーランドで。

Cony Coordinate
パンツ/vintage/¥3,190/Chicago HARAJUKU JINGUMAE STORE
TEL: 03-5414-5107
その他/スタイリスト私物
Yurika Coordinate
すべてスタイリスト私物
eliy Coordinate
すべてスタイリスト私物
東京都立川市曙町2-1-1 ルミネ立川6F
TEL: 042-548-2407
営業時間: 平日 10:00 ~ 21:00 / 土日祝 10:00 ~ 20:30
2016年結成の3人組バンド。ガレージ、ポストパンク、ニューウェーブなど様々な要素を飲み込んだサウンドで、東京を拠点に活動。2017年5月に1stシングル「Listerine/Dad Cry」を7インチでリリース、その後2018年1月に2ndシングル「Invisible/UTM」をカセットでリリース。The Lemon Twigs、Hinds、Japanese Breakfastなど多くの海外アーティストのサポートを務め、2018年のSXSWに出演、初の海外公演を行った。2019年12月18日には1stアルバム「TAWINGS」をリリース。2020年2月14日、NYからCibo MattoのMIHO HATORIをゲストに迎え、リリースパーティー「Chocotto Love」をWWWにて開催。
https://tawingheads.wixsite.com/hifromcalifornia
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