ブランドを代表するアイテムのルーツを紐解き、その魅力の本質に迫る連載企画。シューズ史の1ページを担ってきた数々の名プロダクトを振り返りながら、シューズの大辞典「アイコニックアイテム」を構築していこう。今回のアイテムは、シンプルなアッパーにシャープな星型ディテールが型抜きされたCONVERSEの「ONE STAR」だ。誰が見てもひと目でCONVERSEのスニーカーだと認識するルックスは、オールドスクール感あふれるストリートの定番という印象が強い。ただ、そのオリジナルは誕生から僅か2年しか生産されず、CONVERSEとしても非常に希少性の高いスニーカーであった。ここでは短期間で生産を終了したONE STARが、誰もが知るアイコニックアイテムへと成長する歴史を振り返ろう。

オリジナルは僅か2年間しか生産されなかった希少なモデル

光沢感と張り感が特徴のビジネスシューズにも使用されるガラスレザーを採用したアッパーにスターマークを配した「ONE STAR」。CONVERSEファンにとっても馴染み深いアイテムのひとつだろう。シンプルなデザインのアッパーにバルカナイズドソールを組み合わせたルックスは、1970年代のオールドスクール感を醸し出す。しかし、誕生から僅か2年間しか発売されていない希少性の高いモデルであった。

STAR&BARSから、サイドの2本ラインを省いた、オリジナルモデル

ビンテージに興味のあるファッショニスタであれば古着店等で年代物のONE STARを目にした経験があるかもしれないが、その多くは1984年にMADE IN JAPANで生産された初期復刻モデルがほとんどだろう。キャンバス素材に対し、耐久性に優れるレザー素材を使用したバスケットボールシューズとしてデザインされたSTAR&BARSは、当初“SMOOTH LEATHER ALL STAR”と呼ばれていた。復刻版のONE STARやSTAR&BARSのヒールラベルに“ALL STAR”と印字されているのも、こうした歴史を裏付けるディテールだ。

70年代のモデルにみられる黒ベースに1つ星のデザイン

ミニマルなアッパーデザインはスニーカー初心者も使いやすい

ONE STARのオリジナルモデルは、2年という短い期間で様々なバリエーションを展開している。最初に発売されたONE STARは、アッパーに色鮮やかなスエードレザーを採用したOX(ローカット)だった。ONE STARの原型であるSTAR&BARSも1971年にアメリカのバスケットボールのチームカラーを落とし込んだスエード版が発売されており、初代ONE STARも、そのデザインを継承したプロダクトといえるだろう。このONE STARには上質で発色に優れるスエードが使われていたものの、当時はそのスエード素材を確保するのが難しく、結果的にオリジナルONE STARの生産期間を短くしてしまったとも伝えられている。

スムースレザー素材やハイカットモデルが登場し、バリエーションが豊かに

このスエードモデルに続いてラインナップしたのが、1974年発売のスムースレザー版OXとHI。これらのモデルも当時のカタログでは“SMOOTH LEATHER ALL STAR”のプロダクトネームが使われている。このハイカットモデルは確かにカタログに掲載されているのだが、現存する個体が極端に少なく、もしも1974年版のハイカットをコレクションしているならば、それは博物館クラスのお宝なので大切にして欲しい。

1974年発売スエードレザー製ONE STARのカタログ

世界各国のスニーカーショップが展開した別注モデルとTVドラマでブレイク

何かと“希少価値”というキーワードと関係の深いONE STARがスニーカーファンに愛され続けている理由は、1990年代から2000年代初頭にかけて発売された復刻モデルと、スニーカーカルチャーのムーブメントが大きく影響している。1984年にスムースレザーのONE STARがMADE IN JAPANで復刻を果たしてから約10年を経た1993年に、スエード版のONE STARも復刻された。国内外のセレクトショップが別注モデルを展開し、当時のアメカジブームの追い風を受けて認知度を急速に高めていく。

復刻されたスエード版ONE STARのベースとなった1974年のカタログ

さらに2000年1月から放映を開始した美容師の姿を描いたTVドラマでは、主人公がオレンジのONE STARを履いて登場する。世の中がハイテクスニーカーからアメカジ系人気へと大きく転換するタイミングでの露出であり、ONE STARは時代を象徴する一足として多くのファッショニスタから注目を集めた。

そして今でもガラスレザーのアッパーを採用したブラックやホワイトのONE STARはスニーカーショップやセレクトショップなどに並んでいる。さらにスニーカーファンから多くの支持を集めるTimeLineシリーズから「ONE STAR J VTG」が2014年に発売されるなど定番アイテムやシーズンのアイテムとしても展開されている。

MADE IN JAPANの「ONE STAR J」。こだわりのガラスレザーは定番として親しまれ続けている

もちろんONE STARはスニーカー上級者だけのプロダクトではない。シンプルなアッパーに、型抜きのスターマークを落とし込んだルックスはコーディネートに取り入れやすく、さまざまなスタイルに馴染みやすい一足として受け入れられている。それはスニーカーを多くのコーディネートで履き回す若い世代のスニーカーファンにとってもメリットである。

2020年発売「ONE STAR J METALLIC」

幅広いニーズに応えられるように登場した「ONE STAR J METALLIC」は、MADE IN JAPANならではのクオリティを保ちつつ、アッパーには柔らかいタンブルレザーを採用したカラーアレンジモデルである。履きやすさと個性をプラスした、足元に華やかさを添える注目作だ。

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