ブランドを代表するアイテムのルーツを紐解き、その魅力の本質に迫る連載企画。シューズ史の1ページを担ってきた数々の名プロダクトを振り返りながら、シューズの大辞典「アイコニックアイテム」を構築していこう。今回のアイテムは、オリジナルが1992年に登場したVANSの「HALF CAB」。世界中のスケートボーダーから“スケボー界の生ける伝説”と讃えられるスティーブ・キャバレロのシグネチャーモデルである。ボリューム感のある履き心地と特徴的なミッドトップがHALF CABの代名詞だが、そのデザインはスケートボーダーの声が反映されて誕生したもの。今回はHALF CAB誕生までのストーリーと、最新のプロダクトラインSKATE CLASSICSにラインナップした「SKATE HALF CAB」にフォーカスする。

伝説のボウルライダーのために

特定の著名人の名を冠したシグネチャーモデルと呼ばれるスニーカーは、いつの時代も多くのファンが憧れるプロダクトだ。今回フォーカスするVANS「HALF CAB」も諸説あるが、スケートボードシューズ初のシグネチャーモデルであり、当時のスケーターが独自にカスタマイズしたディテールを反映した特別なバックストーリーを持つ一足である。HALF CABのシグネチャーライダーはスティーブ・キャバレロ。1980年代後半に人気を集めたBONES BRIGADE(ボーンズ・ブリゲード)のメンバーでスケボートリック“キャバレリアル”を生み出したトップクラスのボウルライダーとして知られるスケボー界の生ける伝説だ。

HALF CABのシグネチャーライダー、スティーブ・キャバレロ

彼のシグネチャーモデルがVANSからラインナップしたのは1992年のこと。その記念すべきファーストモデルは現在のスニーカーファンが慣れ親しんだミッドトップではなく、ハイトップディテールを採用していた。VANSがキャバレロのためにデザインしたファーストモデルは、現在「FULL CAB」と呼ばれ、たびたび復刻されている。

最近では2017年にデザイン誕生25周年を記念して復刻。シュータンやライニングに厚手のクッショニング材を搭載し、足首部分までホールドしてくれるFULL CABはハーフパイプやドッグ・ボウルで抜群のパフォーマンスを発揮した。ただ1990年代はスケートボードシーンに大きな変革が起こったタイミングであり、スケートボードシューズに求められるパフォーマンスにも変化が表れていたのだ。

スケートボーダーたちのカスタムが製品化

1990年代に広まったストリートスタイルは、専用のスケートパークではなく、街中の縁石やハンドレール、階段などを利用してスケートボードを乗りこなすスタイルだ。現在のスケートボードシーンでも人気が高いストリートスタイルでは、足首の動きに自由度のあるスケートボードシューズが好まれる傾向が強く、当時人気だったFULL CABの足首部分を切り取ってミドルトップにカスタムするスケーターが現れたのだ。もちろん当時も「ERA」や「OLD SKOOL」などローカットのモデルが発売されていたが、憧れのスティーブ・キャバレロのシグネチャーモデルを履きたいと思うスケーターも多く、彼らにとってはFULL CABのカスタムが正解だったのである。

ロゴパッチには、キャバレリアルを決めるスティーブ・キャバレロの図案が刺繍されている

そうしたムーブメントを見たスティーブ・キャバレロは、VANSに「最初からミッドトップで発売したら?」と提案する。カスタマーの要望を取り入れる個人オーダーのシューズ作りからスタートしたVANSだけに、キャバレロの提案もスムーズに受け入れられ、履き口をミッドトップにアレンジしたHALF CABが誕生したのだ。ミッドトップならではの履きやすさと、FULL CABから継承されたボリュームとフィッティング感はストリートで履くスニーカーとしても高く評価されたのはご存知の通り。

2021年にスタートしたSKATE CLASSICSに「SKATE HALF CAB」がラインナップ

そのスティーブ・キャバレロのシグネチャーモデルも、2022年にデザイン誕生30周年を迎える。基本的なデザインを変えず、今もVANSを代表するアイコニックアイテムのひとつとして愛され続けている事実は、HALF CABの完成度の高さを裏付けるものだ。

スケートシューズを再構築したプロダクトラインSKATE CLASSICSのひとつとしてラインナップ「SKATE HALF CAB」

現在ラインナップするプロダクトは、90年代の履き心地をいまに伝えるHALF CABと、スケートボーダーのニーズに応えて機能をアップデートした「SKATE HALF CAB」の2タイプがある。「HALF CAB PRO」の後継モデルに相当するSKATE HALF CABは、シュータンを固定するLOCKED–IN FITとデザインをアップデートしたヒールカウンターがフィット感を向上させた。さらにカップインソールのPOP CUSH素材が優れたクッション性とエネルギーリターンを提供してくれる。オールドスクール感を醸し出すガムソールにはグリップと耐久性を向上させたラバーコンパウンド“sickStick rubber”を採用。VANS史上最も粘着性が高いグリップを発揮してくれる。

ヒールのなかの補強材POP CUSHにより、安定性をアップさせた

こうしたアップデートはスケートボーディングだけでなく、ストリートでの着用時にもポジティブな印象を与えるもの。春夏シーズンに活躍するショートパンツはもちろん、アンクル丈のワイドパンツとの相性も抜群なHALF CABを、最新の履き心地が味わえるSKATE CLASSICSモデルで試してみてはいかがだろう。

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