ブランドを代表するアイテムのルーツを紐解き、その魅力の本質に迫る連載企画。シューズ史の1ページを担ってきた数々の名プロダクトを振り返りながら、シューズの大辞典「アイコニックアイテム」を構築していこう。今回のアイテムは、ジャパンブランドの“モノ作り精神”が宿るASICSから、オールドスクール感あふれるルックスが印象的な「GEL-PTG」をピックアップ。1980年代のバスケットボールシューズを連想させるトレンド感あふれるルックスに仕立てられながらサイドパネルの“アシックスストライプ”が個性を醸し出すスニーカーとして、男性だけでなく、女性にもファンが多いプロダクトだ。ここではGEL-PTGのルーツである1983年発売の伝説的なバスケットボールシューズの歴史から、スポーツシューズの印象が強いASICSをデイリーユースとして選ぶ楽しさについてもお伝えしよう。

デザインのルーツは、米国のバスケットボーラーも憧れた伝説のシューズ

スニーカートレンドの王道を行くコートシューズデザインが印象的なASICS「GEL-PTG」。そのルーツは、1983年にトップアスリート向けに開発されたバスケットボールシューズ「FABRE POINTGETTER(ファブレポイントゲッター)」だ。今でこそ世界的なランニングシューズブランドの印象が強いASICSだが、実は1950年に発売したバスケットボールシューズが最初のプロダクトだった。当時のスポーツシューズ界では「バスケットボールシューズの製造が最も難しい」といわれており、ASICSの創業者である鬼塚喜八郎氏が「最初に高いハードルを超えられれば、その後のハードルもどんどん超えられる」と考え、当時のバスケットボール強豪校に何度も試作品を持参して改良を重ね、1950年春に商品化を実現させた。全てのシューズに“モノ作り精神”が宿る、ASICSにふさわしいエピソードだろう。

ASICS創業者の鬼塚喜八郎氏

オリジナルのFABRE POINTGETTERにも1950年当時の情熱は受け継がれ、優れたフィット感と高いグリップ力を発揮するハイパフォーマンスシューズとして多くのプレイヤーから支持を集めた。学生には手が届きにくい価格設定も、憧れのバスケットボールシューズという印象に働きかけていただろう。これは伝聞であり噂話の類なのだが、FABREシリーズのパフォーマンスは海外でも知られ、当時は「本場である北米のバスケットボーラーにASICSのバスケットボールシューズをお土産で持っていくと非常に喜ばれる」といわれていた。そうした噂話も信じてしまうほど、FABRE POINTGETTERは完成度の高いバスケットボールシューズだったのである。

「GEL-PTG」のルーツとなったバスケットボールシューズ「FABRE POINTGETTER」

ヒール部にASICS独自のクッショニングテクノロジー“fuzeGEL”を搭載

伝説のバスケットボールシューズデザインを受け継ぎ、現代的なスニーカーシーンに寄り添うスポーツスタイルシューズとしてリデザインを施したのがGEL-PTGだ。2015年にASICS TIGERブランドがリスタートしたタイミングに合わせ、FABRE POINTGETTERが醸し出すオールドスクール感はそのままに、ストリートでの履きやすさを追求して2017年8月に展開を開始した。“ピボットサークル”を配置したフラットなアウトソールも、1980年代のバスケットボールシューズらしさを際立たせるディテールで、現在では性別を問わず支持を集めるASICS SportStyleブランドの定番として親しまれている。履き心地の面ではASICSが独自に開発した“fuzeGEL(フューズゲル)”が大きな役割を果たしている。

ソールのヒール部分に内蔵されたfuzeGELは従来のGELテクノロジーに比べて軽量なのが特徴で、パフォーマンス系シューズのなかでも高く評価されているクッショニングテクノロジーだ。その特性は街履き用のスニーカーと相性も良く、クラシックな見た目のGEL-PTGを履いた時の快適性は、いい意味で予想を裏切ってくれる。

ソールには、衝撃を緩衝し足への負担を軽減させるクッショニングテクノロジーfuzeGELを内蔵

女性層にもファンが多い“いつものスニーカー”にふさわしい一足

1980年代の名品を受け継いだオールドスクール感あふれるルックスと快適な履き心地を両立したGEL-PTGは、ASICS SportStyleが展開するスニーカーの中でも女性の購入者が占める割合が高い。ASICSはスポーツと向き合う人々のパフォーマンスを支えながらストリートカルチャーを刺激するプロダクトを展開してきた。

ブランドを象徴するアシックスストライプや、独自のテクノロジーによる快適な履き心地がファッショニスタを魅了している

特に2010年以降には海外を中心に復刻モデルをベースにしたコラボレーション企画を展開し、2015年にASICS TIGERブランドをリスタート。スニーカーヘッズと呼ばれる層と関係の深いスニーカーブティックが提案するカラーを次々とラインナップして、足元に強いこだわりを持つファッショニスタを刺激していった。その勢いはSNS上でバズとなり、ASICS SportStyleが展開するスニーカーのバックストーリーを熱く語るムーブメントを定着させた。そうしたプロダクトの根底にはスニーカーに対する情熱とリスペクトが欠かせない。

憧れのハイパフォーマンスシューズをストリートで履く贅沢な体験、といったウンチクが男性ファンを取り込む一方で、シンプルでコーディネートに取り入れやすく、“いつものスニーカー”にふさわしいニュートラルな魅力が女性層に支持されている。足元にASICSを取り入れたファッショニスタのスタイルサンプルに興味を持ちつつ、何を選べば良いか分からないと迷っている人でもGEL-PTGであれば気負うことなく履きこなせる一足といえるだろう。

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