ブランドを代表するアイテムのルーツを紐解き、その魅力の本質に迫る連載企画。シューズ史の1ページを担ってきた数々の名プロダクトを振り返りながら、シューズの大辞典「アイコニックアイテム」を構築していこう。今回のアイテムは、2018年に初登場したNIKE 「AIR MAX 270」。過去の名作をアレンジしたスポット生産のプロダクトかと思いきや、近未来的なデザインと、ストリートシーンにおける抜群の履き心地が話題を集め、瞬く間にストリートの定番スニーカーとして地位を獲得した。この成功の秘密には、かつてないコンセプトでチューニングをほどこした“AIR”が大きく関係している。今回は1987年から続くAIR MAXの歴史で初めてライフスタイル向けのエアユニットを搭載したシューズ、AIR MAX 270にフォーカス。多くのファンが絶賛する優れた履き心地の秘密を探っていこう。

発売当時、史上最大のエアバッグを搭載

スニーカーを愛する人々にとって特別な存在であるNIKEのAIR MAXシリーズ。1987年に初代「AIR MAX」が誕生して以来、近未来的なビジュアルと画期的なクッショニングテクノロジーを搭載したプロダクトとして進化を続けたランニングパフォーマンスシューズだ。その最新作が発売される度にメディアが大きく取り上げる一方、オリジナルディテールを再現した復刻モデルがストリートシーンで愛され続けているのもご存知の通り。そうしたAIR MAXの歴史において革命と評しても過言ではないチューニングをほどこして新たなAIR MAXファンを獲得したのが、今回の主役である2018年に登場した「AIR MAX 270」だ。

履き心地を追求した結果、販売当時史上最大のエアバッグが誕生

AIR MAX 270は“最大のエアバッグを搭載したモデル”というコンセプトが示す通り、32mmという歴代で最も高さのあるエアバッグをヒールに搭載。全体のルックスも1991年発売の「AIR MAX 180」(オリジナル当時はAIR 180と表記)と1993年の「AIR MAX 93(AIR MAX V)」に通じる、レトロフューチャーデザインに仕立てられている。特にAIR MAX 93に搭載されるミルクジャグからヒントを得たと伝えられる大型エアバッグは、当時から“270エア”と呼ばれていた。そうしたバックストーリーと近未来的なデザインを融合させたAIR MAX 270は、新しいデザインを好む若い世代だけでなく、過去の名作を知るスニーカーファンをも魅了したのだ。

気圧のチューニングが新たなAIR MAXの特性を引き出した

このAIR MAX 270はデザインだけでなく、ストリートシーンでの履き心地も高く評価されている。その快適な履き心地を生み出す秘密は、270エアのチューニングだ。NIKEを象徴するクッショニングテクノロジーである“AIR”を搭載したライフスタイル(街履き)モデルは、1987年に発売された「AIR SAFARI」をはじめ、多くのモデルが存在するが、それらに搭載されたエアバッグは、パフォーマンスランニングシューズ用に開発されたエアユニットと同じものが使用されていた。パフォーマンス系のエアユニットは衝撃吸収だけでなく、反発力を得るために高い気圧にチューニングされている。走るためのシューズであれば反発力は大きなメリットとなるが、ストリートで歩くシチュエーションにおいて高い気圧のエアバッグは“硬い履き心地”と感じやすい。

ヒールエアバッグは空気圧を下げて柔らかく、快適な履き心地を実現

具体的な数値こそ公表されていないものの、AIR MAX 270に搭載されるエアバッグはそれまでよりも気圧を低くチューニングしている。気圧を抑えたエアバッグは指で押すと柔らかさを感じる仕上がりで、この柔らかさこそがストリートシーンでの“歩きやすさ”に直結する。AIR MAX 270はストリートシーンでの履きやすさに特化した史上初のAIR MAXであり、そのプロダクトが多くのユーザーに歓迎された事実は、スニーカー史の新たな1ページとして記憶されるべきトピックだ。

女性を意識したバリエーションもラインナップ

AIR MAX 270の人気を裏付ける証拠のひとつに、2018年の登場以降、多彩なバリエーションが展開されていることが挙げられる。2018年2月1日に発売されたAIR MAX 270のファーストコレクションや、3月22日に登場したAIR MAX 93のオリジナルカラーのひとつ“Dusty Cactus”をサンプリングしたカラーは、過去の名作に敬意を表した配色がアイコンとなった。そのルックスに、スニーカーに詳しく復刻モデルを好む世代がいち早く反応した。一方で、ボリューム感のあるデザインを活かし、現代的なカラーを落とし込んだバリエーションが登場すると、足元のコーディネートに存在感を求める女性たちのInstagramにもAIR MAX 270が登場する機会が増えた。

男女問わず幅広い層を魅了する、豊富なバリエーションもAIR MAX 270ならでは

さらに、前足部分に軽さと反発力に優れる“リアクト”を搭載しトラヴィス・スコットとのコラボレーションベースにも選ばれた「AIR MAX 270 REACT ENG」や、街中でアウトドアウェアを着こなす“アーバンアウトドアスタイル”との相性も抜群な「AIR MAX 270 BOWFIN」が追加され、NIKEスポーツウェアのスペシャルプロジェクトである“ISPA”からも「ISPA AIR MAX 270 SP SOE」がラインナップ。2020年には女性の足元を意識したウィメンズ専用モデル「WMNS AIR MAX 270 XX」が追加ラインナップされている。デザイン面での選択肢が増えたことで、さらに新たなファンを獲得したに違いない。ランニングシューズとして進化を続けたテクノロジーを活かし、ストリートで最高の履き心地に合わせたAIR MAX 270は、初登場から短期間でストリートの定番へと成長した。このムーブメントはAIR MAX 270にほどこされたチューニングが、時代が求めるパフォーマンスであった事実を裏付けているのだろう。

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