ブランドを代表するアイテムのルーツを紐解き、その魅力の本質に迫る連載企画。シューズ史の1ページを担ってきた数々の名プロダクトを振り返りながら、シューズの大辞典「アイコニックアイテム」を構築していこう。今回のアイテムは、1977年に誕生した「Style 36」から進化した「OLD SKOOL」。言わずと知れたVANSを代表するモデルだ。その歴史は既に説明され尽くされている感があり、ここでは現代のスニーカーシーンにおけるOLD SKOOLのポジションを紐解いていく。学生だけでなく、世界的なセレブがOLD SKOOLを選ぶ理由とは何か。その疑問の答えを導くには、VANSが大切にするクリエイティビティ(創造力)というワードにヒントがありそうだ。

サイドパネルにストライプを描いたVANSの大定番

レザーのサイドパネルにサイドストライプやジャズストライプと呼ばれるラインを採用した「OLD SKOOL」は、VANSを象徴するスニーカーであり、ブランドが掲げる“スケートボードの世界でより多様性のあるコミュニティをつくる”という世界観を具現化したプロダクトだ。OLD SKOOLのルーツであり、復刻モデルも発売されている「Style 36」はアクションスポーツ用のシューズとして開発されたが、多様なユーザーの意見を取り入れながらマイナーチェンジを繰り返し、いま店頭に並んでいるOLD SKOOLへと進化を遂げた。そしてストリートの定番として世界中で愛されるスニーカーとして認知されている事実は今さら説明する必要はないだろう。

波を打つ曲線が印象的な通称“ジャズストライプ”

ソールは“バルカナイズド”と呼ばれる製法を採用。この製法は高い耐久性を確保するだけでなく、現代的なストリートシーンに馴染むローテクスニーカーらしさを醸し出してくれる。さらにバルカナイズドソールのサイド部分は“フォクシングテープ”と呼ばれる補強パーツが貼り付けられ、ヒールのフォクシングテープが重なった部分にヒールパッチを装着。ここに“OFF THE WALL”と描かれたデザインは、OLD SKOOLのアイコンとして活きている。シンプルなローテクスニーカーでありながら遠目からもVANSだと分かる存在感も、性別や世代を問わず愛され続ける理由のひとつだろう。

かかとのパッチ“OFF THE WALL”の文字はVANSの象徴といえる

学生の相棒であり、セレブも愛用するOLD SKOOLの魅力

このOLD SKOOLには2つの顔がある。ひとつは学生を始めとする、若者のマストアイテムであること。特別な限定品は別として、定番カラーのOLD SKOOLは日本国内であればどの地域でも入手でき、リーズナブルな価格帯だ。フラットなラバーソールを採用するアウトソールはシンプルであるとともに、履き心地に好き嫌いが出にくく、スケーターにも認められたトレッドパターンは日常生活でも確実なグリップを発揮してくれる。しかもOLD SKOOLへのリスペクトは世界共通だから、通学で履き倒しても“安っぽいスニーカーを履いている”と噂される心配もない。むしろアイツのセンスはイカしてるとポジティブな評価に働きかける。スニーカー好きの大人が「学生の頃はOLD SKOOLを履き潰した」と語るシーンは珍しくないが、耐久性に優れるOLD SKOOLを履き潰すには四六時中履き続ける必要がある。そうしたエピソードが示す通り、スニーカー好きの若者にとっていつの時代もOLD SKOOLは大切な相棒なのだ。

もうひとつの顔は、セレブと呼ばれる人々にOLD SKOOLが選ばれている事実だ。VANS自体がOLD SKOOLを履くセレブをプロモーションに起用することはほぼないに等しいが、キム・カーダシアンやデヴィッド・ベッカム、エイサップ・ロッキーなどの有名人がOLD SKOOLを履くスナップがいくらでも見つかる。彼らがVANSの定番スニーカーを選ぶ理由はどこにあるのだろう。

OLD SKOOLは足元に自分らしさを創造

OLD SKOOLは“多様性”と言い換えることができる自分らしさを表現しやすいスニーカーだろう。例えばNIKEの「AIR JORDAN 1」やadidasの「SUPERSTAR」といったスニーカーも間違いなく定番だが、そこには確立された世界観があり、スニーカーを履いた際のコーディネートにもある程度のお約束が存在する。そうしたお約束がOLD SKOOLからは感じられない。もちろんOLD SKOOLにもヘンリー・ロリンズやバッド・レリジョンといったパンクバンドが履き、その姿に憧れた若者がOLD SKOOLを履いた歴史がある。ただ、そうしたアーティストをVANSが総力をあげてプロモーションに起用した記憶はなく、前述した“セレブが履くOLD SKOOL”というキーワードも、VANSの公式Webサイトには掲載されていない。

コーディネートに正解のないOLD SKOOLは、クリエイティビティを高めてくれる

特定の有名人の色が付いていないOLD SKOOLは、クリエイティビティを大切にする人たちにとって自然体で履けるスニーカーと仮定すると納得できる。「OLD SKOOLを履いたときにはこういったウェアを合わせなさい」なんてアドバイスはお節介以外の何ものでもない。学生の通学からセレブのライフスタイルまで、あらゆるシチュエーションで自分らしさに寄り添ってくれるOLD SKOOLは、これだけスニーカーが溢れる現代のスニーカーシーンでも決して多くはない、アイコニックアイテムと讃えるべき存在だ。

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