ブランドを代表するアイテムのルーツを紐解き、その魅力の本質に迫る連載企画。シューズ史の1ページを担ってきた数々の名プロダクトを振り返りながら、シューズの大辞典「アイコニックアイテム」を構築していこう。今回のアイテムは、ALL STARと共にCONVERSEの定番スニーカーとして知られる「JACK PURCELL」だ。つま先に“スマイル”と呼ばれる特徴的なディテールを持つJACK PURCELLは、コーディネートに取り入れやすいシンプルな見た目から女性にも人気の高いプロダクトのひとつ。その定番スニーカーはバドミントン用のシューズが起源となっている。発売当時のオリジナルは、CONVERSEではないメーカーから販売されていたという知る人ぞ知るバックストーリーが存在する。今回のアイコニックアイテムではJACK PURCELLの歴史を振り返り、80年以上愛されるシンプルなデザインと機能性にフォーカスしよう。

伝説のバドミントンプレイヤーの意見を取り入れた「JACK PURCELL」

シンプルで上品な雰囲気を醸し出すアッパーのつま先に入る“スマイル”と呼ばれるディテールや、ヒールラベルの“ヒゲ”と呼ばれるロゴが印象的な「JACK PURCELL」は、CONVERSEを愛するファンにとって欠かせないアイコニックアイテムのひとつだろう。このスニーカーはバドミントンワールドチャンピオンシップに輝いた伝説のプレイヤーであり、テニスプレイヤーとしても活躍したジョン・エドワード・ジャック・パーセルが開発に携わったプロダクトで、そのファーストモデルは1935年に誕生した。

つま先のスマイルは、JACK PURCELLのアイコンディテール

今でこそCONVERSEの定番として知られるJACK PURCELLだが、約90年の歴史の中では他のスポーツメーカーが関わっているエピソードも有名だ。シグネチャーモデルの先駆けとして、ジャック・パーセル氏と開発したオリジナルシューズは、スポルティング社からリリースされた。その後、パフォーマンスの向上を目的に、B.F.グッドリッチ社へ製造と開発が委託されることになる。

CONVERSEになる前のインソール。2層構造になっており、B.F.グッドリッチの社名が入っている

そして1950年代に入るとB.F.グッドリッチ社が販売権も獲得し、1972年にはCONVERSEとB.F.グッドリッチ社が統合された。こうした流れを経て現代に受け継がれるCONVERSE JACK PURCELLが誕生したのだ。

特徴的なソールや“ヒゲ”は優れたパフォーマンスの証明だった

JACK PURCELLはバドミントンやテニスで求められる横方向のストップ&ゴーで、優れたパフォーマンスを発揮するソールを採用し、このスニーカーを象徴するディテールとしてファンに親しまれている。現在のJACK PURCELLにも使われる、フラットなラバーに細かい凹凸を刻んだ“スラブソール”は、1960年代にB.F.グッドリッチ社が採用したもの。

グリップ力のあるスラブソールがパフォーマンスを向上させた

また一部のプロダクトに使用されるヘリンボーンソールは、1970年代後半までラインナップしていたバリエーションを再現したもの。テニスの試合でも使用されるJACK PURCELLは、ハードコートとクレーコートを始め、どのコート面(サーフェス)にも対応する必要があった。そのため2種類のソールを選べるバリエーションを展開したのである。

アイコンのひとつである“ヒゲ”はジャック・パーセルがヒゲを生やしていた、のではなく、競技中の正しい姿勢をサポートするため土踏まずの内側をやや硬く高めに、外側を柔らかく低めに設計したインソール“Posture Foundation”の構造をデザインしたもの。

三角形がふたつ並んだ特徴的なデザインのヒールラベル。通称、ヒゲは1960年代に登場

スポルティング社がデザインしB.F.グッドリッチ社とCONVERSEが育てたJACK PURCELLは、細かなアップデートを繰り返し、デザイン誕生から約50年の1970年代後半まで一線級の実力を持つパフォーマンスシューズとして愛され続けたのだ。

人気のTimeLineからJACK PURCELLの新作が登場

現代のスニーカーシーンにおけるJACK PURCELLは、「ALL STAR」と並ぶ定番のスニーカーとして幅広い世代に親しまれている。ただJACK PURCELLとALL STARの8インチローカットモデルを比べると、ALL STARのハトメが6個なのに対し、JACK PURCELLでは7個のハトメを採用していることに気づくだろう。ALL STARよりも小さなハトメを採用しているため、JACK PURCELLのデザインはレトロなルックスに仕立てられているのだ。

限定コレクションTimeLineより新たにリリースされる「JACK PURCELL 80 J」

JACK PURCELLの新作として、TimeLineから「JACK PURCELL 80 J」が登場する。TimeLineとはコンバースのアーカイブモデルを再現し、ファンを納得させるディテールと快適な履き心地を両立した人気の高い限定コレクションである。

2021年3月発売のニューモデルは、1980年代のJACK PURCELLにフォーカス。オリジナルをベースに、アッパーのキャンバス素材には1948年設立の“富士金梅帆布”を採用し、トゥは膨らみのあるスマイルの形状や生成りとグリーンのコンビカラーのインソールを再現している。

インソールは2層構造のオーソライトを搭載し、土踏まず部分をアーチ状に成型して履き心地の良さを追求

こうしたディテールへのこだわりは、TimeLineならではのアプローチといえるだろう。

加えてインソールとヒールラベルの下部分にほどこされた“MADE IN JAPAN”の文字は、当時ないデザインで新しくアップデート。クラシックな佇まいでありながら、日本の高い技術で再現していることからも、アーカイブへのリスペクトが感じられる一足となっている。

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